2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールと超音速流とのアナロジーに基づくホーキング輻射理論の実験的検証
Project/Area Number |
17656073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 英生 京都大学, 工学研究科, 教授 (50166964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪上 雅昭 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70202083)
武石 賢一郎 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70379113)
岩井 裕 京都大学, 工学研究科, 講師 (00314229)
齋藤 元浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (90314236)
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Keywords | ホーキング輻射 / ブラックホール / ラバールノズル / 超音速流 |
Research Abstract |
20世紀の初頭,アインシュタインが相対性理論を世に送り出してから,物理学における時間と空間の関係というものは大きく変わってきた.それによると,世の中には絶対的な時間座標というものは存在せずに,各座標によって時間の進み方が異なる,また光の速さはどの系から見ても一定である,といった古典物理学の世界では考えられないような現象が起こっている.さらには,光が重力によって曲がる重力レンズ効果や,ブラックホールの存在といった興味深い現象が実際に観測されている.ブラックホールとは,宇宙空間に存在し,あらゆる物体を吸い込み,光ですらその外部に出ることができない天体であると,一般的には考えられている.しかし,一般相対論と場の量子論によると,ブラックホールからは粒子が放出されることが,Hawkingによって示されている.この現象をホーキング輻射と呼ぶ.この現象は非常に興味深い現象であるが,実際に観測によって実証することは不可能とされる.そこで本研究では,ブラックホールと超音速流とのアナロジーを用いて実験室で類似の現象を観測することにより,ホーキング輻射理論の実証を行った.その結果,気体の流れが超音速になることによって,音波が上流に届かなくなるという擬似ブラックホールの状況が得られ,またホーキング輻射現象の一つの特徴である波の引き延ばし現象を確認することができた.ホーキング輻射対応物自体の同定を観測するには至らなかったが,更なる実験装置の改善,およびデータ解析手法の工夫により観測できる可能性は残されている.
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Research Products
(1 results)