2005 Fiscal Year Annual Research Report
スピン注入による核スピン制御と半導体磁気メモリデバイスへの応用
Project/Area Number |
17656101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクロトニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Keywords | スピン注入 / 超微細相互作用 / 核スピン / 強磁性体・半導体ハイブリッド構造 / 核スピン・メモリ / スピントランジスタ |
Research Abstract |
強磁性体から半導体へのスピン注入を用いて半導体チャンネル中の核スピンとの超微細相互作用により核スピンに情報を蓄え、書き換え、取り出すことをめざした研究である。本年度はメモリデバイスの主力であるCMOSプロセスへの適用を考え、既存のCMOSメモリプロセスを変更して革新的なメモリプロセスとするためどのような設計、試作、評価が可能であるかをチェックした。また、そのような既成のプロセスにのせるためにメーカーの協力も得て進めることとした。プロセス上の困難は今のところ問題とはなっていないが詳細は公表の段階ではない。基本的な課題は、(1)チャンネル中のシリコン原子の核スピンに情報が転写されていることの確認(2)ホール電圧での読み出しによるデータの破壊速度(3)読み出し結果に基づく再読み込みである。これらのフィージビリティースタディが成功裏に終わったとして、その次にくる実用上の問題として超微細相互作用による書き込み速さをどこまであげられるか、その物理的問題点はなにかという点、読み出しに必要な検出電流をどこまで下げて全体のパワーを抑えることができるかという点、核スピンの数とスケーラビリティの限界がある。これらは現在進めている実験計画の基本データの蓄積につれて解答が判明してくるものと考えている。最後に基本的なアイデアに関する特許申請を済ませていることを付記する。また、共同研究に要する時間が長くなることを考慮すると本研究の研究期間でまとまった結論を得るため、実際に応用されると予想されるシリコン系の材料ではないが、当該研究室で比較的容易にチェックできる化合物半導体を用いて上記(1)-(3)の基本課題を確認することも計画している。
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