2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン注入による核スピン制御と半導体磁気メモリデバイスへの応用
Project/Area Number |
17656101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Keywords | 核スピン / メモリ / スピン注入 / スピントランジスタ / 強磁性体 |
Research Abstract |
半導体中にスピン偏極した電子またはホールを注入することによって高性能なメモリセルを構成するための基礎検討をおこなった。天然の構成元素からなる半導体は、シリコンの場合もGaAs、InAsの場合も有限の核スピンを有する同位元素(例えばシリコン中の^<29>Si、砒化ガリウムの場合の^<69>Ga、^<71>Ga、^<75>As、インジウム砒素系半導体中の^<113>In、^<115>In)は多く存在するので局所的な核磁場を注入電子(またはホール)との超微細相互作用により磁化する原理を用いる限り、メモリセルに応用した場合のデバイスサイズが数ナノメートルオーダーまでは微細化がスケールできることがわかっだ。また磁化による書き込み読み出しを発生したホール電圧を信号として取り出すメモリセル構造を考案した(特許出願済み)。具体的なスピン注入および書き込み/読み出しの実験は、よりインパクトの大きいシリコンで進めるべく半導体メーカーと共同研究を開始した。化合物半導体へのスピン注入を行うために半導体上へ結晶成長可能で高いスピン偏極率を有すると有望視されている材料として酸化鉄の一形態であるマグネタイト(Fe_3O_4)のインジウム砒素上への結晶成長に成功し、またその磁化測定より面内に磁化容易軸をもつ強磁性特性を確認した(Appl.Phys.Lettに公表)。理論上は100%のスピン偏極率であるが、その実験的確認は極低温で相変化を引き起こすため、アンドレーエフ反射や極低温での偏光測定など通常の手段が使えないため新しい検証手段を模索中である。
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