2005 Fiscal Year Annual Research Report
道路の「公共性」対する市民意識の日独比較-路面公共交通整備を目的として
Project/Area Number |
17656166
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
塚本 直幸 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (20247878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英二 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (50121801)
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Keywords | 道路 / 路面公共交通 / LRT / 市民意識 / 道路、路面公共交通法体系 / ドイツ / 歴史・文化 |
Research Abstract |
本研究は、LRT(Light Rail Transit)に代表される路面公共交通の整備のための道路空間の再配分に関連して、自動車利用者や沿道住民等の権利調整の観点から、道路空間の「公共性」に関する市民意識の日独比較分析により、道路空間利用に関する社会的合意形成のための有効な方策に資することを目的とするものである。2ヵ年度の初年度の研究として、文献・資料の収集整理、現地踏査・ヒアリング等により主に以下のものについて分析した。 1.道路および都市空間の「公共性」概念に関連した文献・資料の収集・整理 2.ドイツにおける路面公共交通成立の要件となる法的制度・社会的仕組みの整理 3.ドイツにおける市民意識の醸成に役割を果たした各種市民啓蒙活動の整理 4.文学・歴史に基づいた市民意識の歴史的変遷に関する文献・資料の整理 5.市民意識と路面公共交通整備の関連性分析 これらのことより、現段階として以下のことを仮説として構築した。 (1)ドイツ各都市形成に関する歴史的特性より、Tor(門)とRing(環状道路)で特徴付けられる旧市街地とその外側に広がる新市街地とで道路に使われ方およびそれに対する人々の意識に違いがあること (2)道路と一体不可分の「広場」の存在の有無により、「往来(通行)」を主目的とする日本の道路概念と、「滞留」をも機能としたドイツの道路概念に差異があること。 (3)歴史的に醸成された「公共」概念、「遵法」概念に差があること。 (4)これらが、現在の法体系に反映され、ドイツの道路法とりわけ「沿道者使用」概念や「地方自治体交通財政援助法」、「路面電車の建設と運営に関する規則」などわが国の路面公共交通整備に関連した法体系には見られない特徴を生んでいること。 次年度においては、これらの仮説の検証と、ドイツの路面公共交通整備事業手法のわが国への適用可能性についてさらに分析を進める。
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