2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17656170
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 三郎 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90092808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知成 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (50273488)
内海 秀樹 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (10293896)
|
Keywords | フラーレン / 遺伝毒性 / ダイオキシン受容体 |
Research Abstract |
フラーレンは、60個以上の炭素が共有結合して構成される球状、またはチューブ状の閉じた構造をなす物質で、グラファイト、ダイヤモンドに次ぐ第三の同素体である。フラーレンはその化学的特性から、化学反応の触媒、薬物輸送媒体、半導体電子工学、医薬品、化粧品など様々な分野での使用が検討されている。これらのナノ素材は今後利用が広まり、環境中に広くばら撒かれる可能性が高い。 本研究では、フラーレン等のナノ素材の毒性と代謝について検討した。今年度の研究では特にサッカーボール状のバックミンスターフラーレン(C60)の毒性について調べた。まず、C60によって、ダイオキシン受容体が活性化するかどうか、酵母株YCM3を用いて調べたところ、5μMの濃度においても活性化は観察されなかった。次に、DNA損傷性を調べるため、ヒト肝癌細胞株HepG2に0.6μMのC60を曝露し、32PポストラベルでDNA付加体を解析したが、C60による付加体は検出されなかった。また、8-oxo-dGレベルは上昇傾向にあったが、コントロールと比べて有意差は観察されなかった。 TA1535/pSK1002株を用いたumuテストでは、C60による濃度依存的な活性が観察された。また、枯草菌Rec-assay法においても、C60のDNA損傷性が観察された。マウス肝臓癌細胞株Hepa1c1c7の細胞増殖試験におけるIC50値は0.17μMであった。これらの結果は、C60が何らかのDNA損傷性を有していることを示唆するが、そのメカニズムの解明は今後の課題である。
|