2006 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌を用いるダイオキシン類等有害有機塩素化合物の新分解処理法の開発
Project/Area Number |
17656171
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 助教授 (50340617)
林 新太郎 大阪産業大学, 工学部, 助手 (60268274)
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Keywords | 白色腐朽菌 / 有害有機塩素化合物 / 低塩素化ダイオキシン / アントラセン / アゾ染料 / リグニン分解酵素 / 有機ラジカル / 固定化担体 |
Research Abstract |
固定化した白色腐朽菌を用いた排水処理の検討 Coriolus versicolor株を木材由来のセルロースを含む特殊なウレタンフォームに固定化し、排水処理への適用を検討した。菌が産生するラッカーゼについて、通常の液体培養と固定化して培養したものの産生量を測定した結果、培養22目目に液体試料36.2unit/ml、固定化試料99.6unit/mlとなり、3倍程度高いラッカーゼ活性が見られた。これは、リグニン分解酵素が酸素の供給に大きく左右され、使用したウレタンフォームは通気性が高く、カワラタケが液面近くで増殖したことで、ラッカーゼが多く産生されたと考えられる。これより菌の固定化および固定化による菌への影響については知見を得、プラント化の可能性を見出した。 白色腐朽菌を用いた難分解性有機物の分解機構に関する検討 Phanerochaete chrysosprium株およびCoriolus versicolor株による低塩素化ダイオキシン、アントラセン、アゾ染料数種の分解実験を行った。低塩素化ダイオキシンの分解については、培地に含まれる爽雑物質による阻害が顕著で測定の精度が低下したため、再測定を継続している。PAHに属するアントラセンと模擬着色排水としてアゾ染料の分解実験を行い、良好な結果を得た。低濃度(10mg/l)の試料においては3週間程度で半減または測定下限値まで分解が行われた。さらに、アゾ染料においては、分解過程において変色がみられ、これにより分解機構を推測することができた。この結果、白色腐朽菌が産生したリグニン分解酵素は、対象物質の構造における内部にて作用し、ヒドロキシルラジカル等で見られる脱塩素のような構造外部の反応が主ではないことが確認された。また、それを裏付ける結果としてESRによるラジカル測定において、ヒドロキシルラジカルやスーパーオキサイドではない有機ラジカルを確認した。
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Research Products
(5 results)