2005 Fiscal Year Annual Research Report
途上国支援を目的とする補強材を要さない組積造建築の高耐震化技術の開発
Project/Area Number |
17656173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真田 靖士 東京大学, 地震研究所, 助手 (80334358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10212094)
中村 友紀子 新潟大学, 自然科学系, 講師 (20313504)
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Keywords | 無補強組積造 / URM / 壁 / インターロッキング機構 / れんが / 繊維補強セメント複合材料 / 静的実験 |
Research Abstract |
本研究では,地震に対して極めて脆弱な無補強組積造建築を効果的且つ経済的に高耐震化する技術の開発を目的に,組積ユニットに凹凸を設けユニット同士の噛み合いを利用する新しい無補強組積構造の開発に取り組む. 平成17年度は,筆者らが先行研究において計画したH型の組積ユニットによる無補強組積造壁の静的破壊実験を実施した.本実験では,提案する構造の従来のものに対する優位性とくにせん断性能の優位性を確認すること,組積ユニットの性能が壁全体の性能に与える影響について検討することを目的とし,従来の直方体れんがを組積したせん断破壊が先行する試験体(従来型試験体),H型のれんがを組積した試験体(開発型I試験体),組積ユニットに靭性を確保した場合を想定し繊維補強セメント複合材料を用いて製作したH型ユニットを組積した試験体(開発型II試験体)の計3体の試験体を計画した.実験結果より,開発型I試験体はユニット間の噛み合いによる水平力抵抗機構を発現し,従来型試験体に対し強度が大幅に向上することを確認した.ただし,開発型I試験体で用いたれんがは脆性材料であるため,最終的にはせん断破壊し,急激に耐力低下する結果となった.一方,組積ユニットそのものに靭性を確保した開発型II試験体は,部材角1/50まで安定した強度と靭性を発現することが明らかとなった.上記の実験では壁の面内性能を対象としたが,面外性能を論じる上でも組積ユニットに靭性を確保する方法は極めて有効と考えられる.ただし,こうした組積構造は主に途上国で用いられるため,開発型II試験体で仮に用いた繊維補強セメント複合材料のような先進材料を扱うことは難しく,今後,長期的に材料開発にも取り組む必要があると考える.また,本研究では上記の実験を対象とする有限要素解析を実施し,実験結果と比較することでモデルの妥当性を確認した後に,組積ユニットの形状に関する議論も計画している.
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