2006 Fiscal Year Annual Research Report
既存鉄骨造建物における柱脚現有性能の実証に基づく耐震性能再評価
Project/Area Number |
17656176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吹田 啓一郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70206374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金尾 伊織 京都工芸線維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (80372564)
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 助手 (80343234)
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Keywords | 鋼構造 / 露出柱脚 / 変形能力 / 既存建物 / 溶接接合 / アンカーボルト / 載荷実験 / 耐震性能 |
Research Abstract |
既往の研究や地震被害の特徴から,柱脚性能と鉄骨建物の間の関係に着目して既存建物の耐震性能を論じようとしたとき,柱脚の実態について明らかにすべき課題が多岐にわたり,さらに定量的な情報を与える設計・施工の現場の技術資料が不足しているなど,その解決が容易ではない課題であることが再認識される.本研究はこの課題に取り組む方法として,(1)既存建物から採取した柱脚の実性能を実験で検証し,(2)上部構造と総合して品質上の問題点を踏まえた実建物の耐震性能を明らかにする,という手順を考え,具体的な既存鉄骨建物にこれを適用してその手法の妥当性を検証したものである. 具体的な検討対象は1969年建設の2階建鉄骨建物である. (1)既存鉄骨建物の柱脚性能検証:実在する建物の性能を,施工品質の影響も含めて実物の載荷実験により検証した.箱形断面柱にベースプレートを介してアンカーボルトにより露出形式により接合されている点は現在と共通するが,柱とベースプレートの溶接が片面隅肉溶接であり,耐力の不足をリブ・スチフナにより補う設計としている点が現在と異なる特徴である.アンカーボルトの降伏が先行した後,ベースプレートが降伏し,最大変形角0.1radまで露出柱脚固有の履歴特性を示した.その間,溶接形式の特徴は力学特性に影響を及ぼしていないが,最終破壊形式は隅肉溶接の破断によるもので,これが変形能力を限界付けている点が現在と異なる特徴である. (2)既存鉄骨建物の柱脚性能実験により明らかにされた柱脚の構造特性,履歴特性,塑性変形能力,破壊限界に関する情報を定量化し,その成果を既存鉄骨建物の数値解析モデルに適用することにより,鉄骨建物全体の地震時応答特性と耐震能力の評価を試みた.
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Research Products
(3 results)