2005 Fiscal Year Annual Research Report
東部マグレブ地域の古代末・初期ビザンティン建築のドーム構造に関する研究
Project/Area Number |
17656198
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 健一郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30144215)
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Keywords | ドーム / ビザンティン建築 / マグレブ / チュニジア / リビア |
Research Abstract |
事前の調査で実測器材の搬入が極めて難しいと予測されたので、今回は簡易型レーザー測距器2台による予備的な調査をリビアで実施した。特に、当初計画ではリビアの西部および東部の現地調査を予定していたが、東部が政情不安であったため、西部にある首都トリポリに滞在し、市内のマルクス・アウレリウスの記念門について予備的調査を実施し、サブラータ、レプティス・マグナ遺跡で目視および実測を行なった。マルクス・アウレリウス記念門は、上層が失われたものの下層にスキンチ・ドームを擁し、同じく記念門として、より大きなペンデンティヴ・ドームを下層に配置するレプティス・マグナのセヴェルス帝記念門との比較は、興味深い結果をもたらすことが期待される。これら二つの記念門については、リビアでの研究実施の困難さから、これまで正確な実測図が作成されていない。今回は、上記の簡易器材で予備的実測を行ない、外面については簡単な写真測量を行なった。リビア文化省考古局長を表敬し、次年度以降の調査について理解と協力が得られたので、高精度の実測調査を計画したい。レプティス・マグナ遺跡では、後に教会堂に転用されたセヴェルス帝のバシリカの目視調査および簡易実測調査も行なった。アプシス上部の半ドームは失われているが、こうした古代遺跡を基盤として6世紀のビザンティン建築がドームおよび半ドームの架構を学んでいったことは明らかであり、先の記念門のドームとあわせ、ユスティニアス帝期のドーム架構の起源を論じる上で重要な基礎作業が行なわれたと言える。
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