2005 Fiscal Year Annual Research Report
オリンピック・シティーオリンピックを契機とした都市改造の分析
Project/Area Number |
17656200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片木 篤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70204419)
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Keywords | オリンピック / 都市改造 / ベルリン / ミュンヘン / ローマ / バルセロナ |
Research Abstract |
本研究は、オリンピックを契機として開催都市がどのように改造されたかを、1)都市基盤(鉄道、地下鉄、高速道路、空港等)2)各種スポーツ施設(屋外競技場、屋内体育館等)・公園3)選手村・関連施設(宿泊、メディア施設等)の3つの施設の配置及びそれぞれの施設デザインを分析することにより、明らかにしようとするものである。 本年度は、科学研究費交付初年度の計画通り、研究対象をヨーロッパの事例に絞り、1)ベルリン(第6回中止、第11回)とミュンヘン(第20回)2)ローマ(第17回)3)バルセロナ(人民オリンピック中止、第25回)の3都市の現地踏査調査、資料収集を行い、それらの都市の変遷を概観した上で、オリンピック開催の影響を分析した。ここで取り上げたのは、第2次世界大戦の枢軸国側の都市(バルセロナは親ナチスのフランコ政権に抵抗した都市であるという点で、他都市とは異なる)であり、これらの都市において戦前期に行われたファシズムによる都市計画、更には戦後復興計画が、オリンピックの都市計画にどのような影響を及ぼしたのかを分析した。その結果、空襲を免れたローマにおいては、北部イタリコ広場、南部EUR、両者を結ぶ自動車道路等、ムッソリーニの計画していたローマ拡張計画を下敷きにしてオリンピック関連施設が配置、建設されたこと、他都市でも、ローマほど明確ではないにせよ、戦前期の都市計画がオリンピックを契機とした都市改造に関わっていたことが明らかになった。東京の場合も、戦前期の計画が東京オリンピックを契機とした都市改造の下敷きとなっていることが予想され、今後これらの都市における戦前から戦後にかけての都市計画の連続性を指摘することが可能であろうとの仮説に立って、研究を進めることとする。
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