2005 Fiscal Year Annual Research Report
四重極イオントラップの多重極化によるボロン・クラスター集合固体の創製
Project/Area Number |
17656203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 純平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90373282)
金山 敏彦 産業技術総合研究所, 次世代半導体研究センター, 副センター長(研究職) (70356799)
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Keywords | ナノ材料 / クラスター / イオンとラップ / 質量分析 / シミュレーション |
Research Abstract |
四重極イオントラップ装置は、4本のポール状電極とそれを囲むケージ状電極とで構成されている。装置内のイオンに対して、ポールとケージに加える直流電圧の電位差により装置の中心に対して引力を、ポール状電極には位相を反転させた交流電圧を加えることにより、中心に対して時間平均的に斥力を発生させる。装置内のイオンは、この二つの力の釣り合う位置にトラップされる。トラップされたイオンは雰囲気の中性粒子(分子やラジカル)との反応によって、より大きなクラスターへ成長し、ポール内部を通過して装置外部へと取り出される。この際にポール内部の電圧により一定の質量以上に成長したイオンを選択的に取り出すことができる(マスフィルター機能)。本研究では、シミュレーションと実験によって、装置内のイオンの挙動を調べ、デカボランとジボランから水素化ボロンクラスターが創製されていることを確認した。 シミュレーションはSimion3D v.7.0というイオン光学系のシミュレーションソフトを用いて行った。イオンがトラップされている様子は、イオンの軌道を表す絡まった線で示される。このトラップされた状態でイオンはクラスターとして成長して行き、マスフィルターの条件を満たす大きさまで成長した時点で外部へと取り出される。実験では、装置の特性を調べるためにキセノンガス(Xe)、ボロン系クラスターを作るためにジボランガス(B_2H_6)とデカボランガス(B_<10>H_<14>)を導入した。キセノンによる実験では、電圧の変化に対するイオンの検出量の依存性が、電圧の変化をイオンの平衡位置に変換することで統一して解釈できることがわかり、シミュレーションによる予測とも一致した。ジボランとデカボランによる実験では、装置内でジボランとデカボランが反応し、B_<12>HxからB_<22>Hx程度までが生成していることが確認できた。
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