2005 Fiscal Year Annual Research Report
Pixon型信号処理による微量軽元素の電子状態分析法の開発
Project/Area Number |
17656204
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 一厳 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00372532)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / PIXON法 / 電子エネルギー損失分光 / 微量元素分析 / 画像処理 / 電子状態 |
Research Abstract |
○PIXON法の適用プログラムの開発 透過型電子顕微鏡(TEM)における分析手法の一つである電子エネルギー損失分光法(EELS)は、軌道放射光によるX線吸収分光(XAFS)とほぼ等価な情報を与えるが、試料に入射した高エネルギー電子は様々な過程でエネルギーを失うため、電子準位間遷移以外のバックグラウンドレベルが高く、信号の有意な検出のためには通常1%以上の原子濃度が必要であるという点において現時点で放射光に及ばない。しかし放射光施設のマシンタイム制限などの問題から、手軽に測定できるTEM-EELSで微量軽元素の測定ができれば、という要求は極めて高い。我々はPIXON法と呼ばれる新しい画像回復アルゴリズムをEELSスペクトルに適用し、微量な元素からのシグナルからスペクトル回復する事を企図した。一般にEELSスペクトルは一次元のデータ列であるが、最近CCDによるEELS検出器によって、16ビット二次元の画像データとして取得できることを利用した。シグナルとしての吸収端スペクトルは検出器のある領域に局在した強度相関を持つ。PIXON法は、この空間的に局在した強度相関を識別する能力に長けている。17年度は画像読み込みから処理までのプログラムを完成した。これに対して実際のEELSスペクトルを模擬したいくつかのテストデータを用意し、様々なレベルのノイズを加えたものをこのプログラムで処理した。その結果、従来の最大エントロピー法などの手法に比べ、処理に伴うartifactが小さく、より有効であることが実証された。更にこの手法を放射線計測・医療画像などの分野にも応用範囲を広げつつある。
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Research Products
(4 results)