2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光および静電場試料浮遊法を用いた過冷却金属液体の非弾性X線散乱の研究
Project/Area Number |
17656206
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
正木 匡彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 助手 (00360719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 毅彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 助教授 (00371138)
依田 眞一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 教授 (00344276)
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Keywords | 過冷却液体 / 液体構造 / 非弾性X線散乱 / レビテーション / 高輝度放射光 |
Research Abstract |
静電場試料浮遊法とは、直径2mm程度の微小な液摘を静電力により中空に保持する方法であり、坩堝が使えないような超高温液体や過冷却液体状態の実験的研究を可能にするユニークな方法である。本研究は、この静電場試料浮遊法を高輝度放射光を用いたX線散乱法に適用することにより超高温および過冷却金属液体の静的・動的な構造を調べる方法を確立するとともに、実験結果から液体内の原子ダイナミクスを明らかにすることを目的としている。 平成17年度は、Spring-8の2軸回折計(BL04B2ランダム系ステーション)に既存の静電浮遊装置を設置して高温液体金属(ZrやSiなど)のX線散乱を測定し、これらの液体および過冷却液体の静的構造因子を調べた。得られた静的構造因子を元に、液体論におけるHypernetted-Chain近似と大規模古典分子動力学を併用して原子間有効二体ポテンシャルを求め、さらに、その原子間ポテンシャルから粘性係数・拡散係数などの輸送物性を計算し、実験値との比較を行った。ジルコニウムの粘性に関しては、計算値と実験値は極めてよく一致しており、上記の方法で得た原子間ポテンシャルを物性の理論計算に使用しうることが明らかにされた。 上記の実験の際に蓄積したノウハウを元にSpring-8の非弾性X線散乱計測装置(BL35)用の静電浮遊装置の設計・製作を行った。この非弾性X線散乱装置は、測定試料周辺の空間が限られているため、従来の静電浮遊装置と比較してきわめて小型化した静電浮遊装置の設計・製作を行い、試料の浮遊溶融が可能であることを確認した。
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Research Products
(1 results)