2006 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア濃度の傾斜化によるイオン伝導性セラミックスのその場強化
Project/Area Number |
17656218
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 昭 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (30211874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀考 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (90164954)
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Keywords | イオン伝導 / セラミックス / 強化 |
Research Abstract |
セラミックス材料は、高温構造材料として用いられているが、粉砕によりリサイクルしようとすると強すぎる強度が問題となる。しかし、作製時に強度を低く抑えると、供用の際信頼性が問題になる。我々は、既にジルコニアセラミックスに圧電体であるチタン酸バリウムを分散させた複合体を作製し、分極の方向にで内部応力を制御することにより強化・劣化が随意に行えることを実証したが、現時点でプラスマイナス15%程度の強度制御しか行うことができていない。 同じ無機材料でもガラスでは、急冷やイオン交換により圧縮応力を残留させ、強度を大きくした、いわゆる強化ガラスが用いられている。融点が大きく作製時点で塑性流動の小さな多結晶材料では、急冷により亀裂が生成したり、密な構造中にイオンの出入りが困難であったりするため、これら物理的・化学的な手法での強度制御が行われていなかった。高強度セラミックスは強化ガラスの十倍以上の強度を有し、このような高い強度材、高融点の耐火物においても強度制御が望まれていた。 本研究では、ガラスより遙かに強度が大きく、高温でも軟化しないといった特性を有していながら、内部応力が熱緩和しないような低温でイオン伝導度、イオン交換能が大きなNaβアルミナセラミックスに着目した。ガラス同様にNaイオンをイオン交換することにより、50%にも上る強度制御が達成され、最高強度が500MPaと、構造材料として十分な特性を引き出すことに成功した。またこの材料は、強度値を熱処理により容易に低減できるというリサイクル性に優れた材料であることがわかった。更に、亀裂生成についても検討し、過剰なイオン交換は生成した内部応力によるマトリックス組織の破壊を導くため強度の劣化をもたらすことを見出した。すなわち強化には最適な交換量があることがわかった。
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Research Products
(4 results)