2005 Fiscal Year Annual Research Report
超大変形能力を持つ耐熱ナノ積層セラミックスコーティングの実現手法
Project/Area Number |
17656230
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 義久 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (60343844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 雅之 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (90266916)
D. Arcan 若手国際研究拠点, 研究員
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Keywords | セラミックス / ナノ積層構造 / 大変形 |
Research Abstract |
ナノ積層構造のセラミックス複合材料を作製するため、パルス波形の電力で駆動される蒸発源を2基用いたデュアル高速反応性マグネトロンスパッタリング法により、ナノ積層複合コーティングをサファイア基板上に試みた。セラミックス材料としてAl_2O_3-TiO_2系を用いてナノ微細組織を再現性良く作り出せるプロセス条件を探索するため、基板温度とスパッタリング中のアルゴンガス圧力の条件を変化させて、得られた微細構造組織とプロセス条件との関連性を系統的に検討することにより、1層が50〜100nmでそれぞれ交互に10〜20層の周期積層構造を持つナノ積層セラミックス複合材料を作製することに成功した。作製した材料の組織を高分解能電子顕微鏡で観察した結果、Al_2O_3/TiO_2界面はアルゴンガスの圧力が高いほど荒くなる傾向が認められ、それぞれ柱状晶組織がスパッタ方向に成長した異方性構造を持つナノ構造組織が形成されたこと、結晶粒間にはナノオーダーのき裂(ナノクラック)が存在し、アルゴン圧力の上昇に伴いナノクラック密度が上昇することなどを確認した。さらに機械的特性を評価するためにナノ積層構造複合材料表面にマイクロビッカース圧子押し込み試験を行った。得られた荷重-変位挙動から求めた平均のヤング率および硬さは、それぞれナノクラック密度の上昇に従って減少することを明らかにした。またマイクロビッカース圧子押し込み試験から発生したマイクロクラックから破壊靱性を評価した結果、相対的破壊靱性値はナノクラック密度が増加するに従い減少する傾向が認められた。これらの機械的特性は異方性を有するナノ柱状晶組織の影響を大きく受けることが考えられた。
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