2006 Fiscal Year Annual Research Report
超大変形能力を持つ耐熱ナノ積層セラミックスコーティングの実現手法
Project/Area Number |
17656230
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 義久 独立行政法人物質・材料研究機構, コーティング・複合材料センター, 主幹研究員 (60343844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 雅之 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノセラミックスセンター, 主幹研究員 (90266916)
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Keywords | セラミックス / ナノ積層構造 / 大変形 |
Research Abstract |
高速デュアル反応性マグネトロンスパッタリング法により、サファイア単結晶基板上にAl_2O_3とTiO_2をそれぞれ交互に10〜20層の周期積層構造としたナノ積層セラミックス/セラミックス複合材料を作製することに成功した。各層の厚さは65〜70nmである。当該年度においては、製造条件を変えて作製したナノ積層セラミックス複合材料と機械的性質との関連性を詳細に調べ、機械的性質に及ぼすナノ組織構造の影響について検討した。機械的性質はマイクロビッカース圧子押し込み試験により行い、結晶構造と微視組織観察はX線回折と走査型電子顕微鏡を用いてそれぞれ行った。 その結果、各層はアナターゼ/ルチル構造をもつチタン酸化物とアルミナ結晶構造である。界面粗さは結晶成長速度に依存し、基盤側から離れるに従い大きくなる。スパッタ方向に成長した柱状晶組織の各結晶粒がそれぞれの層間で連結されて、内部のボイドがトラップされていることを確認した。この構造がナノ積層セラミックス材料の機械的性質を理解する上において重要な役割をするものと考えられた。マイクロビッカース圧子押し込み試験から発生したマイクロクラックから破壊靱性を評価した結果、相対的破壊靱性値はナノクラック密度が増加するに従い減少する傾向が認められた。また、インデンテーション試験により発生したマイクロクラックを走査型電子顕微鏡で詳細に観察した結果、クラック先端部のナノクラックサイトにおいて、クラックブランチング挙動やクラックディフラクション挙動が認められた。これは靭性値に影響を及ぼす重要な現象と考えられる。さらにクラック先端部に形成されるダメージゾーンは、クラック進展に伴い拡大する挙動も観察され、クラック先端部での応力集中が再配分されることを確認した。
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