2007 Fiscal Year Annual Research Report
超大変形能力を持つ耐熱ナノ積層セラミックスコーティングの実現手法
Project/Area Number |
17656230
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 義久 National Institute for Materials Science, コーティング・複合材料センター, 主幹研究員 (60343844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 雅之 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノセラミックスセンター, 主幹研究員 (90266916)
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Keywords | セラミックス / ナノ積層構造 / 大変形 |
Research Abstract |
高速デュアル反応性マグネトロンスパッタリング法により、サファイア単結晶基板上にAl_2o_3とTio_2をそれぞれ交互に10〜20層、層厚を65〜70nmの周期積層構造を持つナノ積層セラミックス/セラミックス複合材料を作製することに成功した。当該年度においては、マイクロ硬さ試験機に取り付けた球状圧子を用いて、圧痕深さがサファイヤ基板上に積層した複合材料のトータル厚さの約35%まで変形するような荷重を選択し室温で押し込み試験を行った。また透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて圧痕直下を詳細に観察しその変形メカニズムを調べた。押し込み試験後の圧痕周辺を詳細に観察した結果、セラミックス材料で生じるような明瞭なき裂は認められず、金属材料と同様な塑性変形挙動が認められた。圧痕部をTEMで観察した結果、この変形メカニズムは、積層方向に配勾したナノ柱状晶ごとの結晶粒間に発生するナノせん断滑り変形挙動と各層間に発生するせん断滑り変形との相互作用により、ナノ結晶粒が回転と再配向を繰り返しながら大きな変形を生じたものと考えられた。本コーティング手法を用いてコーティング層自体に、硬さと変形による軟らかさを両立する耐熱ナノ積層セラミックスコーティングへの指針を見出すことが出来たと考えられる。 本研究成果の一部は、朝日新聞(平成19年6月11日付)に「へこむセラミックス」との記事で掲載された(物質・材料研究機構と東京大学先端科学技術研究センターとの共同研究)。
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