2006 Fiscal Year Annual Research Report
閉じ込め型液体電極プラズマの短時間分光診断とモデリング
Project/Area Number |
17656233
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高村 禅 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (20290877)
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Keywords | マイクロプラズマ / マイクロ・ナノデバイス / 環境分析 / 発光分析 / μTAS / 超小型分析装置 / 液体電極プラズマ / 重金属汚染 |
Research Abstract |
本研究は、発光元素分析用液体電極プラズマの特性を明らかにし、この新しいプラズマのいろいろな方面への応用の可能性を調べるものである。本年度に得られた成果を列挙する。 (1)プラズマの短時間分光診断 各部位でのプラズマからの発光を、時間分解で分光し、発光ピークの強度、強度比およびその時間変化より、プラズマの特製を明らかにすることを試みた。単一元素からのピーク強度をボルツマンプロットしたところ、やはり一本の直線にのらず、空間的に大きな温度分布ができていることが示唆された。電圧印加から、泡が発生し、発光のピークが観察される過程を高速ビデオカメラと時間分解分光器で測定したところ、発光ピークが得られる時間が元素により変化することがはっきりと確認され、これを利用した特定の元素の高感度測定の可能性が確認できた。熱輻射と原子ピークの各スペクトルが時間軸で出てくることが確認できた。熱輻射の強度、出現時間と、電圧などプラズマ発生条件の因果関係が調べられた。 (2)プラズマ発生の数値シミュレーション 前年度は、数値シミュレーションにより、泡の発生をほぼシミュレートできたが、流路外側の熱伝達は考慮していなかった。本年度は、これを考慮し、流路壁面の温度上昇、流路材料と最適プラズマ発生条件の関係などを調べた。その結果、本プラズマが扱う100μ秒程度の時間帯では、容器への熱の拡散距離はわずかであり、プラズマの中央部はほぼ断熱的に扱ってよいことがわかった。また、プラズマの発生中、発生後の熱移動などをシミュレートし、流路の大きさ依存性をもとめ、上記の実験結果と比較した。電圧依存性をしらべ、熱輻射の強度と比較したところ、フィッティングパラメータをひとつ残した状態で、ほぼ一致した。しかし流路の大きさの影響はうまくシミュレートできず、今後の課題となった。
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