2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造緩和させた金属酸化薄膜のレイヤー・バイ・レイヤー形成に関する研究
Project/Area Number |
17656240
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
南條 弘 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 研究チーム長 (90357690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 育夫 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 主任研究員 (80356435)
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Keywords | 金属酸化膜 / 不働態化 / 陽極酸化 / 原子像 / テラス / 平坦化 / 分光エリプソメータ / 走査型プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
チタン酸化薄膜の特性を把握する上で、紫外線照射効果は重要であり、それを最初に評価した。分光エリプソメータの変数tanΨとcosΔ、並びにチタン基板、チタン酸化膜、炭化物系コンタミネーションを含んだ総合屈折率nや総合消衰係数kは紫外線照射時間337分まで減少した。この時間はSiO2の場合の4059分に比べて著しく短く、TiO2の光触媒分解効果によると考えられる。その後、膜厚が上昇し、紫外線による酸化が進行した。 硫酸中における純チタンの電位を-100〜3000mV(Ag/AgCl)まで変えて、各電位での陽極酸化で形成される酸化膜厚やその光学変数について検討した。陽極酸化後10分における膜厚は処理電位に対し、線形的に増加した。活性帯域で形成された薄膜は空気中において成長し続けたが、不働態域以上の電位では膜厚が若干減少した。不働態域において、波長350nmにおけるtanΨは電位増加と共に大きくなったのに対して、630nmにおけるtanΨは不働態域から過不働態域に渡っておおよそ増加傾向が見られた。 初期酸化における膜成長の解析を行うと同時に、動電位法における表面構造を観測した。最高電位が-50mVから1500mVにかけて膜厚は1.0nmから4.7nmまで大きくなるが、表面粗さに大きな変化はなかった。定電位法に比べて原子レベルで平坦な表面が広くなり、テラス幅も5nmから7nmと電位が高いほど広くなる傾向が見られた。また陽極酸化で形成される皮膜の結晶化は屈折率が大きいほど緻密な結晶化が進むことを示した。結晶性の評価はX線で行われることが一般的であるが、この結果は分光エリプソメータでも可能であることを示唆している。また、屈折率は光が通過した容積に対応することから、結晶性を容積と関連づけて評価できる点が有効な情報となりうる。
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