2006 Fiscal Year Annual Research Report
構造緩和させた金属酸化薄膜のレイヤー・バイ・レイヤー形成に関する研究
Project/Area Number |
17656240
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
南條 弘 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 研究チーム長 (90357690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 育夫 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 主任研究員 (80356435)
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Keywords | 金属酸化膜 / 不働態化 / 陽極酸化 / 原子像 / テラス / 平坦化 / 分光エリプソメータ / 走査型プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の方法で不働態化すると、300℃まで針状組織の針の数の増加が抑えられ、空気酸化膜よりも平坦性が維持され、酸化膜厚の急上昇を押さえられることが分かった。表面に針状組織ができる条件に対応して、X線回折パターンにピークが現れたことから、針状組織は結晶性のFe2O3もしくはFe3O4であると考えられる。 試料のAFM像の粗さRmsとSTM像のテラス幅より、どの処理でも50〜100℃の温度で処理するのが原子レベル平坦化に効果的であることが分かった。250℃で処理することでも幅広いテラスが形成されることが分かった。 試料に赤外線処理または電気炉での熱処理のみ(50℃〜100℃)を施すことで、テラス幅が10nm程度まで拡張されることが分かった。最大のテラス幅は不働態化と電気炉、50℃での熱処理を組み合わせた場合で11.7nmに達した。 酸化膜の耐食性を0.1mol/L塩酸中における皮膜破壊時間で評価すると、不働態化+電気炉120分処理では100℃で耐食性が最高になり、不働態化+赤外線120分照射では150℃で最高になることが分かった。 酸化膜厚と耐食性の間には明確な相関が無いが、テラス幅と耐食性の間には軽い正の相関関係があることから、テラス幅の増加は塩酸水溶液中における耐食性の向上に寄与することが分かった。 また、酸化膜中の金属濃度をホッピングモデルで理論解析したところ、皮膜中のポテンシャル障壁ではなく、金属/酸化膜界面や膜/外側環境界面におけるポテンシャル障壁に依存することが分かった。
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