2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーブラシへタウリンを導入して液透過流束とタンパク質吸着量とを両立させる研究
Project/Area Number |
17656249
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 千葉大学, 工学部, 教授 (90158915)
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Keywords | ポリマーブラシ / 多孔性基材 / 放射線グラフト重合 / タウリン / 両性電解質 / 透過流束 / タンパク質 / 吸着材 |
Research Abstract |
タウリンはNH2CH2CH2SO3Hという化学構造をもち,スルホン酸基とアミノ基を分子内に併せもつ両性電解質である。多孔性膜(精密ろ過用に市販されている中空糸状の膜,空孔率70%,孔の直径0.5μm)の孔内面に付与したエポキシ基をもつポリマープラシ(接ぎ木高分子鎖とも呼ばれる)に,タウリンを反応させると,タウリンのアミノ基によりエポキシ基が開環してタウリンがグラフト鎖に導入された。こうして両性電解質タウリンを固定した多孔性膜を作製できた。 ジメチルアミノ基とカルポキシル基とを分子内にもつ両性電解質である4-ジメチルアミノ酪酸(N(CH3)2(CH2)3COOH,以下,DGABAと略記)を,タウリンと同様に,エポキシ基をもつグラフト鎖に導入した。このとき,エポキシ基からDGABA基へのモル転化率を変化させて,さまざまな両性電解質固定多孔性膜を作製した。この膜にリゾチーム溶液を透過させることによって,膜のリゾチーム平衡吸着容量を決定した。低いモル転化率(20%まで)では,固定されたDGABAの自己中和作用に支配されるために,リゾチームの吸着がほとんど起きなかった。一方,高いモル転化率(50%)では,DGABAを固定したグラフト鎖の自己中和構造が壊れ,電荷の反発によってグラフト鎖が伸長してリゾチームが多層に結合することを見出した。また,どの転化率でも膜の液体透過流束は基材のそれの15%を示し,液を透過させるのに実用上,十分な値である。
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