2005 Fiscal Year Annual Research Report
多価カチオン導入ヘテロポリ酸による新規固体酸触媒の開発
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17656262
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
薩摩 篤 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00215758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 研一 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60324000)
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Keywords | ヘテロポリ酸 / 固体酸触媒 / エステル化 / アシル化 / グリーンケミストリ / 多価カチオン |
Research Abstract |
エステル化、Friedel-Craftsアルキル化などはモノマー合成や医薬品やなど化学工業に不可欠な反応であるが、通常は再使用不可能な均一系触媒(AlCl_3,硫酸など)が用いられるため、廃棄物削減の観点から有効な固体酸触媒の開発が望まれている。これまで固体触媒による液相有機合成は、ゼオライト、メソポーラスシリカ、粘土等のシリケートによる検討が中心であり、新たな可能性が求められている。イオン導入ヘテロポリ酸は表面積などの基礎物性が古くから研究されているが、有機合成反応への応用はプロトン型、Cs塩(奥原ら)、Al塩(K.Amaniら)など限定された系で検討されており、幅広く系統的な検討はほとんどない。本研究では様々なカチオンを導入したヘテロポリ酸をベースとした新規固体酸触媒の開発を目的とした。 本年度は新規反応系としてFriedel-Craftsアシル化への多価カチオン交換ヘテロポリ酸の適用を試みた。種々の触媒を試したところ、トルエンとドデカン酸とのアシル化において高い活性を示すことを見いだした。還流条件で24時間反応させたところ、96%の収率が得られた。この活性は従来から知られる固体酸触媒(ヘテロポリ酸Cs塩、ゼオライト、粘土、イオン交換樹脂)や均一酸触媒であるSc(OTf)_3やパラトルエンスルホン酸よりも高活性であった。この触媒は濾過分離による再利用が可能であり、溶出成分ではなく固体触媒そのものが活性を発現していることも確かめられたことから、グリーン化学プロセスへの利用に有望な系であることが見いだされた。
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