Research Abstract |
1.無細胞タンパク合成法の選択 現在,数種類ある無細胞タンパク合成の方法について,文献,面談,さらに学会で情報収集をした.その結果もっとも効率がよいと思われる合成キット3種類をえらび購入した.このうちひとつは,昆虫細胞由来のものであり,あとの2つは小麦胚芽由来の抽出液をつかったものである.また,これらの方法に必要な試薬および器具を,購入した.さらに,本プロジェクトの特徴であるリポソーム調製のための装置を購入した. 2.標的タンパク質の選択 無細胞タンパク合成の標的タンパク質を慎重に選定した.可溶性タンパク質としてRac(G-タンパク質)とシトクロムb_5,不溶性膜タンパク質としてgp91^<phox>を選んだ.このうち,RacはGTP結合タンパク質,シトクロムb_5はヘムを含むタンパク質であり,gp91^<phox>はヘムとフラビンを含むタンパク質である.これらのcDNAを内外の協同研究者から入手した. 3.標的タンパク質の大腸菌での発現 無細胞合成に入る前に,その前段階として,これらのうち2つのタンパク質を細胞系でタンパク質合成を行った.すなわち,Racおよびgp91^<phox>短縮型のcDNAをベクターに組み込み,大腸菌中で大量発現させ精製した.後者は不溶性であるが,短縮型(フラビンドメイン)については大腸菌での発現精製法をすでに確立している. [Nisimoto, Y., Ogawa, H., Miyano, K., and Tamura, M (2004) Biochemistry, 43, 9567-9575] (捕足)10月の交付内定 本研究課題は通常より遅れて10月に内定を受けた.それゆえ年度末まで半年を切っており,また,ほかのプロジェクトがすでに進行中であり,本年度はこのプロジェクトの本格的な実験には入れず,方法論(無細胞タンパク合成法)の検討と決定,そしてそのために必要な試薬と装置を買いそろえるまでで終わった.ただし,本実験に先立ち,すぐにできる実験として,標的タンパク質のいくつかについて,従来の細胞系でタンパク合成を行った.これは無細胞合成との,比較データを得るための対照実験である.以上のような準備のもとに,次年度は本来の実験を進めたい.
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