2005 Fiscal Year Annual Research Report
離散的手法による固体材料中における水素同位体の輸送挙動のモデル化
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17656300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 憲一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 研究機関研究員 (90391292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 憲司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50210357)
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Keywords | セル・オートマトン / 水素 / 水素輸送 / 水素透過 / 拡散現象 / 昇温脱離 / 表面現象 / 熱活性化過程 |
Research Abstract |
本研究では、以下の研究を実施した。まず初めに、固体中における水素同位体の挙動を表すモデルをセル・オートマトン(Cellular Automaton ; CA)で構築した。これは、固体バルク中における格子間拡散、バルク-表面における輸送、表面拡散と脱離のモデルから構成される。これらの素過程のモデルは熱活性化過程を基礎とし、各モデルにおける遷移確率は熱活性化過程に依存する。続いて、これらの素過程モデルを接続し水素輸送の計算コードを独自開発した。本モデルとコードの妥当性を検証するため、単純かつ既知の事象を模擬するための計算と、モデルの理論的な解析を行った。同時に、金属からの水素放出実験を実施し、実際の系での水素輸送の振る舞いを調べた。一連のデータとの比較検討の結果、本モデルが十分妥当なものであることを確認した。次にこのモデルを用いて、昇温脱離の模擬計算をおこなった。昇温脱離は試料温度が時間と共に変化し、それに伴い拡散係数および水素原子の振動数が変化するため、水素放出挙動は過渡的な要素を持つ。バルク中に水素が多く存在する場合、放出挙動は各素過程が複雑に律速状態を作り、脱離スペクトルに影響を及ぼすことが分かった。次に、比較的大きなサイズの計算により、水素の透過現象を模擬した。ある深さに一定の濃度を仮定し、水素原子が拡散、表面に到達、脱離する模様を模擬した。特に拡散初期状態の過渡状態における気相、表面、バルクの界面輸送挙動の詳細をしらべた。その結果、過渡状態において、ポテンシャル障壁の高さとその濃度の関係から、表面から脱離出来ない水素が表面に滞留し、その濃度が一時的に表面付近のバルクにおける水素濃度より高くなることで、バルク方向の拡散が起こり得ることが新規に解った。以上の実績を後述のとおり発表した。
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Research Products
(1 results)