2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17656301
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三村 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90180562)
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Keywords | 高レベル廃棄物 / ナノ吸着剤 / フェロシアン化物 / モリブデン / セシウム / パラジウム / 有効利用 / 廃棄物低減 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃液に含有されるモリブデンを高機能性吸着剤に変換し、廃棄物の再利用、廃棄物の低減化の発想のもとで研究を実施した。今年度は、不溶性モリブデンフェロシアン化物を調製し、Cs^+およびPd^<2+>に対する吸着特性を基礎的に評価し、Cs^+およびPd^<2+>に対する高吸着性・高選択性を確認した。以下にその成果の概要を記す。 1.フェロシアン化カリウム溶液またはフェロシアン化ナトリウム溶液を、モリブデン酸ナトリウムを溶解した強酸溶液中に滴下することで、不溶性モリブデンフェロシアン化物(FeMo)の沈殿を得た。SEM観察によりFeMoは50〜100nmの微粒子が凝集して数μm〜数十μmの集合体を形成していることがわかった。XRDによる回折パターンから、FeMo-4(硝酸/Na塩系)はfcc構造を持つ不溶性フェロシアン化物の一つであることが推定できた。他のFeMoは結晶性が低く、構造の違いによるCs^+およびPd^<2+>に対する吸着特性への影響は見られなかった。Cs^+およびPd^<2+>吸着前後の沈殿についてEPMA分析し、K^+およびNa^+とCs^+およびPd^<2+>とのイオン交換が主に行われていることがわかった。 2.FeMoのCs^+およびPd^<2+>に対する吸着特性を評価した結果、Cs^+およびPd^<2+>に対する高吸着性を確認した。一部に時間経過に伴うCs^+およびPd^<2+>吸着率の低下が見られたが、溶液条件を緩和することによって90%以上の高い吸着率を保つことができた。Cs^+およびPd^<2+>の吸着に及ぼす硝酸濃度の影響および反応温度の影響を調べ、Pd^<2+>吸着については、硝酸濃度依存性は見られなかった。Cs^+吸着については高濃度硝酸下でわずかな吸着率の低下がみられたが、各FeMoによる違いは見られなかった。Cs^+およびPd^<2+>の吸着について、いずれも温度上昇に伴い吸着率が徐々に低下した。特にFeMo-1(塩酸/K塩系)およびFeMo-2(硝酸/K塩系)によるCs^+吸着では、65℃での吸着率は25℃での吸着率の20%以下にまで低下した。この吸着率の低下はFeMoの溶出が原因であると考えられる。よって実際に応用するには、FeMo-3(塩酸/Na塩系)またはFeMo-4を利用するのが適当であり、さらに高温下でのFeMoの溶出を抑制する手段が必要となる。 3.定量的な吸着特性を評価するため、吸着等温線を作成し、Langmuirプロットを行って各FeMoの飽和吸着量を求めた。本研究で調製したFeMoのなかでは、FeMo-3がCs^+およびPd^<2+>について共に最も高い飽和吸着量を示し、その値はそれぞれ0.284mmol/g、2.24mmol/gであった。 以上のことから、FeMoはPd^<2+>に対する高選択性吸着剤として期待できる。
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