2005 Fiscal Year Annual Research Report
アイソトポマーの解析による動物の食物代謝についての新しいトレーサー実験法の開発
Project/Area Number |
17657005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
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Keywords | アイソトポマー / 食物連鎖 / トレーサー |
Research Abstract |
本研究では、アイソトポマーの解析に基づく新しいトレーサー実験法を開発することで、動物の餌代謝の研究を革新することを目指している。アイソトポマーとは同じ種類の分子でも分子内の同位体核種の配列パターンが異なる分子を別の分子と認定する考え方であり、本研究では、^<13>C-100%と^<13>C-0%のそれぞれの培地で育てた藻類を混合した混合ラベル飼料を動物に与えることで、体内での餌代謝に伴うアイソトポマー組成の変動を解析することを目指している。このことにより、第一に、餌が単に消化管に入っただけなのか、代謝過程に組み込まれたのかが区別でき、第二に、代謝生成物のアイソトポマー組成を詳しく解析することで、体内で生じている生化学的な反応メカニズムが解析可能になる。^<13>C-100%と^<13>C-0%の藻類を等量で混ぜ合わせたラベル飼料を動物が摂取した際に、「代謝生成物のアイソトポマー組成がどうなるか」、「その組成は生物の生理状態に応じてどのように変化するか」等を理解することは、本研究課題におけるデータ解析の出発点であり、本年度は、実際の野外の動物群集にこの方法を応用する前に、動物プラシクトンなどのモデル動物に、^<13>C-100%と^<13>C-0%(実際には、^<13>C-99%,^<13>C-1%程度)の混合ラベル藻類を取り込ませて、動物体内のアミノ酸、脂肪酸などのアイソトポマー組成を計測し、その解析を行うことを目指して、理論的な検討を行う一方で、ラベル化合物の購入、モデル動物プランクトンの取得・購入及び、その培養実験などを進めた。残念ながら、アミノ酸、脂肪酸などの分析に必要なGCMS装置の状態が悪く、またモデル動物プランクトンが、培養中に死滅するなどの問題があり、現時点で、最終的なアイソトポマー計測の結果は得られていない。来年度に向けて、培養法、実験法、分析法の改善の検討を行っているところである。
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