2005 Fiscal Year Annual Research Report
エサと武器を持つキクイムシのエサ資源獲得戦略と共生系進化機構の解明
Project/Area Number |
17657011
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
後藤 秀章 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所・森林動物研究グループ, 研究員 (10353682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 研究員 (60343795)
菊地 泰生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 研究員 (20353659)
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Keywords | カシノナガキクイムシ / アンブロシア菌 / 共生系進化 / ナラ類萎凋病菌 / 養菌性キクイムシ類 |
Research Abstract |
これまで未解析であった房総半島、九州南部、三宅島、屋久島、奄美大島、沖縄本島、与那国島、またさらにはサンプルを必要とした石垣島において採集を行った。このうち房総半島と与那国島を除く地域からカシノナガキクイムシが採集された。このうち屋久島からは初めてカシノナガキクイムシの分布が確認された。また、採集されたカシノナガキクイムシとその孔道からは、ブナ科樹木萎凋病菌Raffaelea quercivoraと餌となっていると考えられる菌類を含む複数の菌類が分離された。 今年度得られたカシノナガキクイムシのDNA解析の結果、これまで知られていた2つのクレードについて、それぞれの分布域がさらに明らかになった。とくに、三宅島のサンプルの解析から、太平洋側にも日本海側と同じクレードに入る個体群が分布する地域があることがわかった。また、九州南部のサンプルから、この地域における両個体群の境界がより明確になった。 分離された菌類をDNA解析するための手法の開発を行った。rDNAのSSU (18S)全長、LSU (28S)の領域の一部およびITS領域全長をそれぞれPCR増幅し塩基配列を決定した。SSU、LSUでは菌株間の多型は検出されなかった。ITS領域は繰返し配列を含み高頻度な多型が見られたが、多型はゲノム内のコピー間においても見られたため、菌株間の多型検出には不適であると考えられた。Actin、elongation factor、beta-tubulinをコードする遺伝子の部分塩基配列は菌株間で多型を検出できたが、配列の違いは1〜2塩基であった。またUP-PCR、DALP、ISSRでの多型検出も試みたところ、いくつかのプライマーの組み合わせで多型を検出できた。
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