2006 Fiscal Year Annual Research Report
新奇青色光受容体bZIP-LOVの機能解析と黄色植物における検索
Project/Area Number |
17657012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片岡 博尚 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (30108568)
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Keywords | 青色光反応 / bZIP-LOW / 光受容体 / フシナシミドロ / 黄色植物 / ストラメノパイル / 光形態形成 / ヒバマタ |
Research Abstract |
黄色植物(不等毛類,Heterokont)に属するフシナシミドロ(Vaucheria frigida)から2種の新奇のLOVタンパクを発見した.それらは1個のLOVドメインと1個のbZIPドメインを持っていた. 両タンパクの発現をRNAiで破壊すると青色光照射域で誘導される分枝形成が起こらなくなることから,これらのbZIP-LOVタンパクは青色光(細胞)形態形成の光受容体であることが明らかになった(2005植物生理学会新潟).そこでこれらをVAUCHERIOCHROME(VC1,VC2)と仮称した.VC2は生殖器官形成の制御に関与していることも示唆された. -方,BLAST検索の結果,2004年に公開された海産ケイ藻(Thalassiosira psudonana)のゲノムに複数個のVCのオルソログが見つかった.そこで,フシナシミドロやケイ藻と同じ黄色植物に属する褐藻ヒバマタ(Fucus distichus)と黄金色藻(Ochromonas danica)からmRNAを精製し,VCのオルソログを探索したところ,それぞれ数個のオルソログを発見した.そのため,VCをAUREOCHROME(AUREO)と改名した.現在,葉緑体を持たない黄色植物である卵菌類にもAUREOCHROMEを探索中である.ケイ藻や褐藻,黄金色藻でのAUREOの役割はまだ不明であるが,光受容体としての機能を持つと予測している. フシナシミドロ,褐藻やケイ藻には緑色植物に広く分布する青色光受容体フォトトロピン(PHOT)は見つからない.黄色植物ではAUREOが共通の青色光受容体として機能しているのかも知れない.今後,AUREOの研究を通して黄色植物の生理学だけでなく,コンブやワカメの育種ケイ藻の生物学的制御,病害性卵菌フィトフトラの防除法のような応用研究が発展することが期待される.これらの研究は2007年3月に第31回日本藻類学会大会(神戸)や第48回日本植物生理学会(松山)で発表した.
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