2005 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻類の鞭毛に局在する新規フラビンタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
17657018
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村上 明男 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 助教授 (50304134)
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Keywords | 藻類 / 生体分子 / 酵素 / 生理活性 / 光受容体 / フラビン |
Research Abstract |
本研究の目的は、褐藻類の遊泳細胞が示す走光性反応および走化性反応のシグナル伝達と鞭毛運動の制御機構の解明である。特に遊泳細胞の2本の異型の鞭毛のうち鞭毛全体が緑色自家蛍光を発する後(短)鞭毛に着目し,走光性反応の光受容体の候補であるフラビンタンパク質の同定を進めた。材料として兵庫県淡路島と北海道室蘭市の沿岸に自生する褐藻カヤモノリを用い,半乾燥暗状態での成熟処理により大量の遊泳細胞を同調的に放出させ,細胞破砕と細胞分画により鞭毛を単離することに成功した.鞭毛の凍結融解後の可溶性粗分画から液体クロマトグラフィー(イオン交換とゲルろ過)によりフラビンタンパク質を精製し,全フラクションの530nm付近のフラビン蛍光の強度とSDS-PAGEのタンパク質バンドの対応からフラビンタンパク質の候補を絞り、PVDF膜転写後にN末端アミノ酸配列の解析を行った.N末端ブロックのため,V8プロテアーゼ消化ペプチド断片を用いた内部アミノ酸配列の解析を行った.得られた部分アミノ酸配列をもとにフラビンタンパク質をコードする遺伝子をクローニングし全塩基配列を決定した.フラビン分子種は,蛍光・吸収スペクトルのpH依存性と薄層クロマトグラフィーの移動度によりFMNと同定した.その結果,酵母のOLD YELLOW ENZYMEと高い類似性を示すタンパク質であった。このタンパク質は緑藻類なども含め藻類では始めての発見である。今後は,発現タンパク質と抗体の作成を行い,細胞内の局在部位の確認,分光特性や酵素活性の解析を進める予定である。また,褐藻類と同様に葉緑体二次共生生物で,鞭毛基部が褐藻類と同様に緑色の自家蛍光を発するミドリムシ藻のフラビンタンパク質についての分光学的,反応速度論的解析も行った。
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