2005 Fiscal Year Annual Research Report
N端オクタペプチドリピート多重体化によるプリオン感染型-正常型の特異的分子認識
Project/Area Number |
17657038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下東 康幸 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (00211293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 綾美 九州大学, 理学研究院, 助手 (60404050)
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Keywords | 生体分子 / 蛋白質 / 分子認識 / 感染症 |
Research Abstract |
狂牛病BSEの原因タンパク質・プリオンには正常型と感染型がある。正常型が感染型に構造変化する原因は、現在まで未解明である。そこで、N端ドメインの中でも特にGly-Gln-Pro-His-Gly-Gly-Trpが数回繰り返されているオクタペプチドリピート領域に着目した。本年度の研究では、プリオン蛋白質N端ドメインのポリマー化におけるリピート構造の影響を、各種の発現タンパク質および合成ペプチドを用いて評価した。 プリオン蛋白質のN端ドメインについて、アミノ酸残基23〜95位、アミノ酸残基23〜100位、アミノ酸残基23〜105位、アミノ酸残基23〜110位、アミノ酸残基23〜120位、アミノ酸残基23〜130位、アミノ酸残基23〜140位、アミノ酸残基23〜150位の8種(1〜22はシグナルペプチドのため除外)の発現プラスミドを作製し、大腸菌を用いてタンパク質を発現・調製した。この発現プラスミドの作製には,農業技術研究所より入手したハムスタープリオンのプラスミドを用いた。これらのうち、110位以降を発現した5種については、大腸菌内在性のタンパク質分解酵素で切断されることが判明したため、アミノ酸残基23〜95位、アミノ酸残基23〜100位、アミノ酸残基23〜105位の3種について、タンパク質を発現・精製し、これらがポリマー化するのかをMALDI-TOF質量分析で解析した。その結果、発現したN端ドメインタンパク質のホモ二量体、ホモ三量体、さらにはヘテロ二量体が観測された。さらに、このポリマー化の要因がオクタペプチドリピートの特にTrpやHisにあることを究明するために、TrpやHisをAlaに変異したオクタペプチドリピートを化学合成し、MALDI-TOF質量分析で解析したところ、特にTrpをAlaに変異すると多量体化が起こりにくくなることが判明した。これらの結果は、オクタペプチドリピート構造のポリマー化がプリオン分子同士でも起こり、正常型⇒感染型のいわゆる「感染」に直接影響することを強く示唆した。
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Research Products
(4 results)