2005 Fiscal Year Annual Research Report
ATPアナログを用いたMAPキナーゼ新規標的リン酸化基質の探索
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17657042
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
仁科 博史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60212122)
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Keywords | ストレス / MAPキナーゼ / シグナル伝達 / リン酸化 / JNK |
Research Abstract |
先に申請者らは、ストレス応答性のMAPキナーゼシグナル伝達系であるJNK/SAPK系の生理的役割を明らかにする目的で、本シグナル系を正に制御する活性化因子SEK1/MKK4やMKK7ノックアウトマウスを作出し、JNK系が肝芽細胞の増殖・生存など肝形成に必須の役割を果たしていることを明らかにした。また、SEK1やMKK7を欠損する胚性線維芽細胞の解析から、細胞の状態に応じてJNK系のアポトーシス誘導能に変化が生じること,JNKがc-Junのリン酸化を介して細胞周期G2/M期促進や細胞老化抑制に関与することを見い出した。さらにJNKの活性化機構の解析からは、SEK1とMKK7が協調して連続的にJNKをリン酸化するという新たなJNK活性化モデルを提唱している。MAPキナーゼファミリーが様々な生命現象の制御に関与していることを見い出したことから、次にこれらキナーゼの標的分子の探索を開始した。これまでに神経変性疾患DRPLAの原因遺伝子の産物がJNKの基質となり活性制御を受けていること、また、好中球の活性酸素産生時にアダプター分子であるGab2がERKによってリン酸化され、リン脂質キナーゼであるPI3キナーゼの活性調節に関与することを見い出した。本研究で我々は、着目する変異キナーゼだけが標的分子をアイソトープラベルされる実験系の開発を開始した。我々は既に、シクロヘキシルアデノシンから有機合成や酵素反応を利用した[γ-32P]-シクロヘキシルATPの合成に成功している。また、3次元構造解析の結果を基にしたキナーゼ分子内のATPポケットの解析から点変異JNKを作製済みである。
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