2006 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母を用いたdikaryonの細胞分裂機構の解析
Project/Area Number |
17657060
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
岡崎 孝映 (財)かずさDNA研究所, 主任研究員 (70213923)
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Keywords | 真菌類 / 細胞分裂 / 核 / dikaryon / 細胞周期 / 細胞骨格 / 有糸分裂 / 核相 |
Research Abstract |
分裂酵母をdikaryonにすると、キノコなどと同様に、それぞれの核が分裂した後娘核の片方を交換しあうので娘細胞は両核の正確なコピーを受け取る。この系を使って18年度は以下のようなことがらを明らかにした。 1)娘核交換の制御機構の解析:SINの一員であるCdc7は分裂前期では姉妹SPBの両方に局在するが分裂後期では保存的複製に由来する古いSPBから消える。このCdc7タイミングは収縮環の成熟と娘核交換開始に一致していた。またlatrunculinで収縮環形成阻害してもcdc7変異においても娘核交換の開始が早まった。以上からこれら3者が機能的に連関していることが示唆された。 2)SINの姉妹SPBへの非対称性局在とdikaryonの分裂制御との関わり:Cdc7が先に消えるのは古いSPBであることはSPBの新旧を区別できるマーカーを使って確かめた。しかしCdc7が両極から消える分裂核と両極にCdc7が残る分裂核とになる組み合わせもあり、Cdc7の局在がSPBの新旧だけで決まるわけではないことも分かった。古いSPBが内側に位置する機構は、細胞間期で細胞質微小管を一時的に破壊するとそれが乱されることから、新旧の極性はSPBの複製時に確立されて分裂期まで細胞質微小管で維持されることが示唆された。 3)分裂酵母dikaryonで見られた制御機構の普遍性の検討:サクラ天狗巣病菌Taphrinaは分裂酵母に比較的近縁である。感染植物中の菌糸の観察したところ、分裂酵母とよく似たdikaryonであった。しかしTaphrinaは出芽酵母として増殖する時は1核である。前年度アワビタケの分節型分生子は、キノコとしては例外的にdikaryonのみの分生子であり、分生子形成細胞において2核は近接していることを見出したが、今年度アワビタケは出芽型分生子をtoxocystとして退化させており、toxocystに核が入る場合は核のペアを解消して1核のみが入ることを見出した。
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