2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞培養によるショウジョウバエの生殖幹細胞とニッチの研究
Project/Area Number |
17657070
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
仁木 雄三 茨城大学, 理学部, 助教授 (00134164)
|
Keywords | ショウジョウバエ / 始原生殖細胞 / 生殖幹細胞 / 細胞培養 / ニッチ / 成長因子 |
Research Abstract |
生殖系列の発生の遺伝的制御や幹細胞の分裂・維持および分化のメカニズムは、発生生物学の中心課題のひとつである。われわれは、始原生殖細胞や生殖幹細胞の分裂・維持機構を明らかにするために、キイロショウジョウバエ生殖幹細胞が分化できない突然変異体bag-of-marbleの腫瘍化卵巣を用い、生殖幹細胞を培養した。種々の成長因子を加えた培養条件から、生殖幹細胞の分裂や維持には、in vivoでの結果と同様に、Dppが効果的に働くことが明らかになった。そして、培養条件を検討し、成虫の体液を加えることにより、安定的に生殖幹細胞が分裂・維持できる細胞株fGS/OSSの樹立に成功した。また、fGS/OSSから、生殖細胞を取り除いた体細胞のみからなるOSS株の樹立にも成功した。これらの細胞株は、-70度で凍結保存可能であり、解凍後は、再び分裂を開始する。OSS細胞は、種々の特徴から、卵形成のときに、濾胞細胞を形成する体細胞幹であることが分かった。また、OSSと生殖幹細胞との細胞間では、カドヘリンなど接着接合の主要なタンパク質が蓄積され、成虫の卵巣小管の前端でみられる特別な微小空間であるニッチで見られるような、カドヘリンを介した結合がみられた。また、雌生殖幹細胞の主たる成長因子であるDppもOSSでは、強く発現していて、fGSでは、pMADが発現している。このことにより、両者間でDppシグナル伝達が起こっていることが明らかになった。さらに、OSS細胞と雄生殖幹細胞を共培養した結果、安定的な細胞株の樹立にも成功した。そして、この両者間でJAK/STATシグナル伝達が行われていることも明らかになった。
|