2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17657071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 敦子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (20376552)
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Keywords | メダカ / 発生遺伝学 / 突然変異体 / 母性変異体 / 生殖細胞移植 |
Research Abstract |
メダカを含む多くの下等脊椎動物では、母性因子の影響(母性効果)が発生の比較的後期まで残ってしまうため、変異体によってはホモ胚であっても初期発生における表現型が抑制されている。特に卵内に蓄積するたんぱく質に対しては、アンチセンス法の効果がなく、変異体の表現型解析が困難となる場合が多い。そこで本研究では、母性効果のない突然変異体(maternal zygotic(MZ)mutant)を作る技術の開発をめざした。まず、メダカ胚の胚操作法や生殖細胞の移植方法を検討し、卵黄がきわめてこわれやすいメダカにおいて初期胚の細胞移植操作が確実に行える技術を確立した。次に、実際に野生型ホストの生殖細胞とfgfレセプター1変異体の生殖細胞を入れ替えることによってMZ変異体を得ることに成功した。野生型ホスト自身の生殖細胞を欠失させる方法として、ニホンメダカ(Oryzias latipes)と東南アジアに棲息する近縁種であるハイナンメダカとのF1雑種胚の不稔性を利用した。しかし、この方法ではホスト胚の稔性が成熟後1ヶ月しか続かないという事が明らかとなり、新たな方法を開発する必要が生じた。そこで、生殖細胞の分化・維持に必須の遺伝子deadendのアンチセンスホリフォリノによってホスト胚の生殖細胞を欠失させる方法を検討したところ、ホスト胚自信の生殖細胞をほぼ完全に欠失させることができることがわかった。この方法を用いてdhc2(cytoplasmic dynin heavy chain 2)のMZ変異体を得る事に成功した。さらにホスト胚自身の生殖細胞が残っているかどうかをチェックするためのマーカーとしてホスト系統に42sp50トランスシーンとmelanophore黒化遺伝子bを導入し、本研究課題の目的を達成した。
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