2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17657073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 宏記 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60192689)
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Keywords | オタマボヤ / 胚発生 / Oikopleura / 卵割パターン / オタマジャクシ幼生 / 細胞系譜 / モデル動物 / 発生運命 |
Research Abstract |
本研究の対象生物であるオタマボヤは、発生生物学的にユニークな特徴を備えており、将来有望な実験動物となることが期待される。しかし、これまでオタマボヤの胚発生の解析はほとんど行われておらず基礎的データが欠けている。そこで本研究では、ワカレオタマボヤ(Oikopleura dioica)の胚発生を詳細に記載し基礎的解析を行うことを目的とした。この研究によって得られた胚発生に関する詳細な情報は、将来的に多くの人々にとって有益なデータになると考えている。 本年度は、(1)原腸陥入と(2)神経管形成の記述を行った。原腸陥入の観察・記載では、まず微分干渉顕微鏡を用いた写真撮影とタイムラプスビデオ撮影により、32細胞期から64細胞期までの割球配置・細胞移動の観察および記述を行った。次に、細胞膜染色を行い共焦点顕微鏡で、時間的経過のイメージを作成した。これらの観察から、オタマボヤでは原腸陥入が非常に早いステージで起こることがはっきりと確認された。原腸陥入は二段階で起こり、32細胞期に8個の植物半球割球が陥入し、64細胞期に後方の4割球が陥入する。神経管形成の観察については、64細胞期以降の細胞分裂と細胞移動を上記と同様の方法で行った。32細胞期以降、植物半球前方の2つの割球は二回連続して前後軸に沿って細胞分裂した後、2x4列の細胞が胚表面から内部に向かって沈み込むことがわかった。ホヤ類の胚発生との比較によりこれがオタマボヤ類の神経管形成であることが推測された。 昨年度の卵割パターンの観察とあわせ、本年の研究により、オタマボヤの初期胚発生の観察と記述がおおむね完了したことになる。
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