2005 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類における全身構造の完全三次元デジタル化と運動機能の力学モデル構築
Project/Area Number |
17657081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 秀紀 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30249908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 直道 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70324605)
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Keywords | チンパンジー / ヒト / 骨格筋 / 筋重量 / クマ科 / テンレック / 三次元 / CT |
Research Abstract |
異なるロコモーション適応を遂げた霊長類群を選択し、各運動様式における生体諸構造間の力学的関係をデジタル空間内で確定し、適応戦略としての移動運動を定量的に記述することが、本研究の目的である。霊長目の樹上性ロコモーションは、機能形態学的進化戦略として多様性に富み、古くから肉眼解剖学の好材料とされてきたが、各進化ストラテジーを客観的に認識・比較するためには、旧来の肉眼的記載に加えて、全身構造のデジタルモデルの完成が必須である。本研究計画では、ロコモーション機構の定量的把握が急務とされる霊長類の樹上歩様運動を、力学法則に則った点集合の運動として記述し、客観性を欠くと批判されてきた従来の解剖学的手法に対して、より緻密な運動の記述を企図して、研究を進めた。 17年度は、標本と凍結遺体を用いて、ロコモーション戦略の相違に関連する全身構造の三次元計測値を集積し、解析を開始した。研究対象種は、標準的な樹上適応を見せるヒト、ニホンザル、アカゲザル、チンパンジー、オランウータンなどを対象とし、比較対象として、食肉目クマ科、登攀目ツパイ科、長鼻目ゾウ科、アフリカジネズミ目テンレック科を導入した。 多岐にわたる適応状態を検討対象に加えることで、霊長類の多様な運動特性の全体像を把握することが可能となってきた。各ロコモーション適応における全身の運動特を、各骨格筋の筋量や生理学的筋断面積の算出と、CT、MRIによる三次元デジタル機能形態学により解明を進めた。得られた定量的結果は、肉眼解剖学的観察結果とあわせて、霊長類およびそのほかの哺乳類の運動機構の解析に貢献しうるものである。
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Research Products
(7 results)