2005 Fiscal Year Annual Research Report
急激な人工環境変化が高齢者の運動制御系に及ぼす影響
Project/Area Number |
17657083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村木 里志 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (70300473)
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Keywords | 高齢者 / 人工環境 / 運動制御系 / 床環境 / 転倒 / バリアフリー / 障害物 / 体性感覚 |
Research Abstract |
高齢者の寝たきりを招く病気以外の最も大きな原因として転倒がある。その転倒の発生場所の多くは屋外だけでなく,住居内も依然として多い。そのため,高齢者の住居はバリアフリーなどの対策がとられる。しかし,住居内の転倒が減らない現状を考えると,まだ現在の住居環境に転倒を招きやすい要因が潜んでいる可能性が十分にある。その潜在する要因として,温熱,照明,床環境の部屋間の環境変化が考えられる。本研究では,これらの変化が運動制御機能にどのように影響を及ぼしているかを検討することを目的とする。 この研究目的を達成するため,初年度は障害物またぎ動作の足軌跡の測定方法論の確立,ならびに高齢者の足挙上時の足の動きと位置感覚とのずれについて検討した。高齢者(20名)および若年齢者(20名)を対象とし,裸足にて,立位片足立ちならびに障害物をまたぐ場合,実際に足が挙がった高さ(挙上高)とその位置感覚とのずれを計測した。また,足の軌跡については三次元で計測した。 その結果,高齢者は若年者よりも高く足を上げる傾向にあったものの,挙上のばらつきが大きくなった。このばらつきは特に足を低く上げようとするときにより大きくなっていることから,高齢者は高い障害物には対応ができるが,低い障害物にはつまずきやすくなるのではないかと考えられる。また,前足に比べ後足を上げることができていないことから,後足が障害物に引っかかり転倒してしまう危険性があるといえる。位置感覚との差については高齢者の方が主観より足を高く上げるという結果になった。 尚,本年度においては,床環境の違いによる高齢者の障害物またぎ動作およびその位置感覚に関する研究も実施した。その結果については女性高齢者まで分析が進み,現在,男性高齢者について分析中である。
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