2006 Fiscal Year Annual Research Report
急激な人工環境変化が高齢者の運動制御系に及ぼす影響
Project/Area Number |
17657083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村木 里志 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (70300473)
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Keywords | 高齢者 / 人工環境 / 運動制御系 / 床環境 / 転倒 / バリアフリー |
Research Abstract |
日本における高齢者の転倒発生に関する統計をみると,家庭で起こる転倒の約6〜7割は居室で起きている。日本の居室の揚合,フローリング,畳,じゅうたん(カーペット)がよく用いられる。本年度は床環境の違いが高齢者の障害物またぎ動作に及ぼす影響を検討した。 被験者は歩行に支障がない高齢者男女各9名(平均年齢68.6歳)、計18名とした。被験者は3つの床材(フローリング、畳、じゅうたん)の上で3つの高さの障害物(0.5、4、9cm、幅5cm)をまたぎ、そのときの両足のつま先ならびに踵の軌跡を磁気センサ三次元位置計測システム(POLHEMUS社製Liberty)により計測した。その結果、床がじゅうたんになると,低い障害物をまたぐ際、他の床条件と比べ,足の挙上が有意に低下した。特にこの傾向は女性において認められた。さらに,高齢者自身,その足の挙上高の違いを認識していなかった。これらのことから,じゅうたんなどの柔らかい床環境は、特に下肢筋力の弱い女性高齢者において、障害物またぎ動作に影響することが示唆された。 一方、居室に床暖房を導入するケースが増えている。床暖房時の床表面の温度が障害物またぎ動作に及ぼす影響の検討を始めた。床表面温度を22度ならびに30度に設定できるフローリングの床を作成した。そして高齢者を被験者とし、2つの床表面温度のフローリング上にて障害物またぎ動作の比較を行った。実験方法は前述した実験とほぼ同じである。実験はすでに終了しており、今後データ分析を進めていく。
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