2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズの高α-トコフェロール化遺伝子の同定と作用機序の解明
Project/Area Number |
17658001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 啓介 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (50111240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲也 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (70374618)
石本 政男 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 北海道農業研究センター, 上席研究員 (20355134)
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Keywords | ダイズ / α-トコフェロール / 遺伝子 / 作用機序 / γ-TMT |
Research Abstract |
高α-トコフェロール(Toc)品種「Keszthelyi A.S.」と普通品種「いちひめ」の交配後代の分離集団を用いた解析の結果、Sat_243とSat_167(連鎖群K)の遺伝子型とα-Toc含有率との問に密接な関係を認めた。また、α-Toc含有率とγ-Toc含有率の間に高い負の相関を認め,高α-Toc形質にはγ-Tocをα-Tocに変換するγ-Tocopherol methyltransferase(γ-TMT)が関与することが示唆された。次に,トコフェロール生合成関連酵素、Homogentisate phytyltransferase(HPT),2-Methyl-6-phytyl-1,4-benzoquinol methyltransferase(MPBQMT),Tocopherol cyclase(TC),及びγ-TMTの4種の酵素遺伝子について,ダイズTACライブラリーからPCRにより上記4酵素遺伝子を含むと推定されるクローンを単離した。さらに、上記の中でも特に高α-Toc化に強く影響を及ぼすと考えられるγ-TMTについて解析を進め,cDNAを用いた3'-RACEの結果から、γ-TMT遺伝子には少なくとも3コピー(γ-TMT1,γ-TMT2,γ-TMT3)が存在することを明らかにした。また、これらの3つの遺伝子の発現解析を行うためにリアルタイムRT-PCRを試みた。しかしながら、これら3つの遺伝子のC末端領域の配列は非常に類似性が高く、個々の遺伝子を識別するための特異的プライマーを設計することはできなかった。そこで、発現解析にはこれら3つの遺伝子を全て検出できる相同領域においてプライマーを設計して行った。なお、γ-TMT遺伝子の発現の程度は、内在性のα-チューブリン遺伝子の発現と比較して評価を行った。高α-Toc品種と普通品種それぞれにおいて、開花後30日、40日および50日後の種子から全RNAを抽出しステージごとのγ-TMT遺伝子の発現を定量した。その結果、高α-Tocは普通品種とくらべ、開花後40日から50日にかけてγ-TMT遺伝子発現の極端な増加が認められた。このことから、高α-Toc品種では登熟中後期にγ-TMT遺伝子の発現が極端に増加することで種子におけるα-Toc含量を増加させることが示唆された。これまでに、連鎖群Kに寄与率の大きな1個のOTL座を認めており、現在、γ-TMT1,γ-TMT2,γ-TMT3の多型を調査し、いずれの遺伝子座が本OTL座と一致するか解析を進めている。
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Research Products
(2 results)