2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物における遺伝子発現のエピジェネティック制御系の開発
Project/Area Number |
17658002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金澤 章 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (30281794)
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Keywords | 植物 / 遺伝子発現 / エピジェネティックス / メチル化 / 転写 |
Research Abstract |
本研究では、二本鎖RNA分子が、植物のゲノムDNAに対して配列特異的なメチル化ならびに転写不活性化を誘導することを利用してエピジェネティックな転写不活性化(TGS)の系を確立すること、ならびに、その不活性化状態の維持機構を解明することを目的として研究を行った。キュウリモザイクウイルスに由来するベクターのクローニングサイトにCaMV 35Sプロモーターの配列を挿入し、その核酸をもつウイルスを、CaMV 35Sプロモーターの制御下で転写されるGFP遺伝子をゲノムに組み込んであるN.benthamiana植物体に対して接種することにより、このプロモーターのメチル化およびGFP遺伝子のTGSを誘導することに成功した。この実験系において、ウイルスベクターに挿入する配列によってTGSの誘導効率に違いが検出されるという結果を得た。CaMV 35Sプロモーターの部分配列を挿入したウイルスベクターを多数作成し、これらを上記の植物体に感染させ、GFP遺伝子の発現を解析することを行ったところ、TGSの誘導効率の違いがウイルスベクターへ挿入する配列の長さ、および、プロモーターの部位の両者に依存することが明らかになった。さらに、これらのことは、TGSが次世代に伝達されるために重要な要素であることが明らかになった。この実験系に加えて、カルコーン合成酵素遺伝子を導入することで花色の変化を誘導した形質転換ペチュニアを用いた研究により、外来遺伝子がTGSを受けるためには、プロモーター近位配列が高い頻度でメチル化を受けることが関連していることを明らかにした。これらのことから、転写開始点の上流約300bp以内の配列をトランスメチル化の標的とすることにより、効率的にTGSを誘導することが可能であると推察された。
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Research Products
(5 results)