2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17658006
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
寺田 理枝 基礎生物学研究所, 分子遺伝学研究部門, 助手 (30137799)
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Keywords | イネ / 遺伝子ターゲティング / パロモマイシン / プロモーター / 相同組換え / カナマイシン耐性 / Rad54遺伝子 / 多重ターゲット |
Research Abstract |
本課題では、イネのターゲティング実験系をさらに多様な遺伝子機能解析法として発展させることを目指し、1)標的とする遺伝子のプロモーターの下流にGUSリポーター遺伝子を相同組換えを介したターゲットによって挿入し、標的遺伝子の発現制御を高精度に解析するシステムを検討し、2)さらにハイグロマイシン耐性以外のポジティブ:ネガティブ選抜マーカーを用いたターゲティング・ベクターを構築して、2遺伝子のターゲット形質転換を同時に行う多重ターゲット法への応用について探究することとした。平成17年度はプロモーター解析用のターゲティング基本ベクターのハイグロマイシン耐性ポジティブマーカーの5'上流側に、GUSレポーター遺伝子の開始メチオニンをふくむコード領域を挿入して、プロモーター解析用のターゲティング基本ベクターの構築を完了した。実際のターゲティングでの同ベクターの機能を調べるため、相同組換えの機構で、クロマチンとDNAの高次構造を変換することで、ターゲティングの頻度を上昇させる効果があることがシロイヌナズナを用いた実験で最近報告された、酵母菌のRad54遺伝子と共通のモチーフを持つイネ遺伝子の発現を調べることとし、このモチーフである、SWI/SNFを持つ候補遺伝子をイネのデーターベースから見いだすことができたので、この候補遺伝子の発現解析に向けたターゲティングを開始した。その結果、ターゲティングカルスを得ることができたので、GUS染色したが発現が見られなかった。このことが、実際のSWI/SNF遺伝子のプロモーター発現を反映しているものかどうか、RT-PCRを用いて検討するとともにターゲティング形質転換を進行している。また、多重ターゲティングを実践すべく、第2のターゲティングで用いることのできるポジティブマーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子のパロモマイシンに対する選抜状況を調べたところ、ハイグロマイシン耐性の選抜と比較して遜色ないことが明らかとなった。そのため、カナマイシン耐性遺伝子を用いたポジティブ:ネガティブ選抜のターゲティングベクターをイネのWaxy遺伝子の削除改変用のベクターとして構築して、ターゲティング形質転換を行っている。現在1個のターゲティングされた可能性の高いカルス系統を得ており、カナマイシン耐性遺伝子を用いたターゲティングも可能であることが示されつつあるため、ハイグロマイシン耐性とカナマイシン耐性のそれぞれのターゲティングベクターを同時に用いることに向けた、効率等の基礎データを集めることとした。
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