2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネ葯四分子細胞カロース膜の冷温障害発生機構に関わる役割の解明
Project/Area Number |
17658010
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小池 説夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 上席研究員 (60355279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 高見 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 主任研究員 (00355281)
山口 知哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, 主任研究員 (10355282)
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Keywords | カロース / 蛍光画像解析 / 浸透圧 / カロース合成酵素遺伝子 / Rho遺伝子 / 形質転換イネ / ユリ / オオムギ |
Research Abstract |
イネ穂ばらみ期冷温障害は、四分子細胞から小胞子が遊離する小胞子初期に冷温感受性が最も高くなることから生ずる。四分子細胞は多糖からなるカロース膜に包まれているが、このカロース膜の機能は不明である。本研究ではユリ・イネ・オオムギの葯を材料にカロース膜の機能を明らかにすることを目的としている。本年度は、ユリ葯から単離したカロース膜をアニリンブルー染色し、蛍光分光光度計と蛍光画像解析による輝度分析による定量解析を試みた。この結果、分光測光による定量解析は可能であるが、多量のカロース膜量が必要であり、ユリの千分の一以下の大きさのイネには適用できないことが判明した。一方、蛍光画像の輝度計測では、遊離細胞数100個から150個まではアニリンブルーの蛍光輝度量との間に比例関係があった。また、葯壁を通しての蛍光輝度の測定もイネにおいて計測可能であることが明らかとなった。葯腔液の浸透圧変動にカロース膜溶解が関与することを実証する一環として、カロース膜懸濁液を熱および酵素分解により分解して懸濁液の浸透圧変動を測定した。この結果、酵素分解による浸透圧はおよそ5%上昇することを明らかにした。 イネカロース合成酵素遺伝子およびカロース合成の調節因子であるRhoタイプGTPタンパク質遺伝子の発現解析を行い、ゲノム上に10個あるカロース合成酵素遺伝子のうちの一つが葯で特に発現していることが判った。また、オオムギから単離したRhoタイプGTPタンパク質遺伝子を極早生イネ品種「はやゆき」に導入し、カロース合成機能の向上を目指した形質転換体の作出した。しかし、カロース膜の肥厚した葯を持つT1世代転換イネはまだ見い出せていない。
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Research Products
(1 results)