2007 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気窒素固定コンソーシアムの植物分布と機能発現-植物の窒素固定と塩ストレス耐性に寄与するエンドファイト共同体の解析-
Project/Area Number |
17658034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南澤 究 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70167667)
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Keywords | エンドファイト / クロストリジウム / TRFLP / 微生物群集構造 |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが細菌エンドファイトの機能的なコミュニテイーとして発見した「嫌気窒素固定コンソーシアム」を対象として、その植物や作物への広がり、植物体内における機能、エンドファイト間の相互作用の解明などを目指した研究である。昨年度に実施した、多数の野生植物や作物由来のClostridium属細菌の系統解析をについてさらに情報学的な検討を加え論文発表を行った。特に、植物由来のcluster XIVaに属するClostridium属細菌と、その他の分離源由来のcluster XIVaに属するClostridium属細菌について、従来は分離株のみを対象としていた。本年度はさらに培養に依存しないデータベース中のDNA配列情報についても検索し、それらを加えて再解析を行った。その結果、植物由来のClostridium属分離株は、やはり系統学的に2ケ所(groupIおよびII)に集中し、高いbootstrap値で他の分離源(ルーメン、腸内、糞便、シロアリなど)のClostridium属分菌株と区別されることが証明された。また、圃場で栽培されているダイズの茎から微生物画分を濃縮し、細菌の16S rRNA遺伝子のユニバーサルプライマーを用いて、クローンライブラリー法で細菌群集構造の解析を行った。その結果、低頻度ではあるがダイズ茎にもClostridium属細菌の16S rRNA遺伝子が検出された。したがって、一見好気的環境であるダイズの茎にもClostridium属細菌が生息していることが明らかとなった。植物接種実験による窒素固定機能共同体としての実験も行ったが、植物個体への定着安定化が難しく、その解明は進まなかった。尚、2006年に本研究成果をまとめた「嫌気窒素固定コンソーシアム」の機能を明らかにした欧文誌の論文が日本微生物生態学会論文賞を平成19年度に受賞した。
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Research Products
(3 results)