2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核微生物の新規非翻訳型RNA「リボスイッチ」による遺伝子発現制御の分子機構
Project/Area Number |
17658037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60302197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 尚弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70374973)
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Keywords | 麹菌 / リボスイッチ / チアミン抑制 / イントロン / 非翻訳領域 |
Research Abstract |
麹菌のゲノム情報を検索した結果、チアミン応答リボスイッチ様配列は、thiAと同じようにチアミンによって発現が強く抑制されるnmtAや発現が認められない偽遺伝子と予想されるtpnAの5'非翻訳領域(5'UTR)のイントロン内にも存在することが明らかとなった。プロモーター欠失解析によってチアミン転写抑制にプロモーターのシス因子が関与しないことが明らかとなったnmtAプロモーターの下流に、推測されるtpnAの5'UTR及びGUSレポーター遺伝子を連結し、ノーザン解析及びGUS発現解析を行なったところ、転写抑制は解除されていたものの、タンパク質発現量はチアミンによって抑制されていた。またRT-PCR解析の結果、mRNAにおいてリボスイッチ様配列を含む介在配列はイントロンとしてスプライシングされていた。これによって転写活性はプロモーターに依存し、チアミンによる抑制はそれとは独立してリボスイッチ様配列に依存していることが分かった。チアミンリボスイッチ様配列を持つ3つの遺伝子の中でチアミンによる発現抑制が最も強いと思われるnmtAの5'UTRを、糖の種類によって発現レベルの異なるアミラーゼ系遺伝子プロモーターの下流に連結し、GUS遺伝子の発現を調べた結果、プロモーターにおける転写抑制とリボスイッチ様配列による制御が連動し、マルトース又はグルコース炭素源で発現レベルが調節され、かつチアミンによって強く抑制されることが認められた。一方、リボスイッチ構造が5'UTRではなくコード領域、さらには3'UTRに存在していても機能するかについて解析を行ったところ、3'UTRにリボスイッチが存在してもチアミン抑制は起こらなかったが、N末に近いコード領域にリボスイッチを内在したイントロンを挿入したものでは抑制が起こる可能性が示唆された。
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