2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の殻に含まれる高脂溶性タンパク質・ペプチド類の探索、機能解析と応用
Project/Area Number |
17658056
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
戸谷 義明 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30180186)
|
Keywords | 高脂溶性タンパク質・ペプチド / タラバガニの殻 / キチンへの吸着 |
Research Abstract |
カイコ蛾やアマエビの表皮に、水に難溶でCH_2Cl_2-MeOH混液(M/C)などの有機溶媒に易溶な、脂溶性タンパク質・ペプチド類が存在することが明らかにされた。これらは、カイコ休眠ホルモンの活性を増強し、節足動物表皮の主成分であるキチンに吸着するなどの興味深い性質を持つ。この種のペプチドは他種の節足動物表皮にも広く分布している可能性がある。そこでタラバガニ殻を材料とし、この種の脂溶性タンパク質・ペプチド類の存否を調べた。 タラバガニの殻(生または煮沸処理)をacetone洗浄し、乾燥後、M/Cで抽出した。M/C抽出物をキチンカラムで処理し、吸着-脱着される画分を得た。これをさらに逆相HPLCで精製した。 UV(230nm)吸収を示す画分をMS分析したところ、生のタラバガニ殻からは、m/z 1507とm/z 5017にピークを示す2種類の脂溶性ペプチドと思われる化合物が、ゆでたタラバガニ殻からは、m/z 15480にピークを示す脂溶性タンパク質と思われる化合物が検出された。これらの画分のアミノ酸配列解析を行ったところ、m/z 1507の全配列はDLTGPSGYINFEHGの14残基であり、この配列はm/z 5017とm/z 15480のN末から共通の部分構造(14、または10残基)であると判明した。 構造決定用のサンプルを確保するため、大量のゆでたタラバガニの殻からM/C抽出物を得、これをダイヤイオンHP-20カラムの後、既述と同様にキチンカラム、逆相HPLCの順で精製した。含有予想画分のMS分析を行ったが、上記の化合物類は検出されず、より脂溶性の画分で、それぞれm/z 1044、m/z 1085、およびm/z 5000付近にピークを示す、脂溶性ペプチドと思われる化合物の存在が判明した。今後、これらの精製、構造決定とともに、前述の化合物類の再探索を行う予定である。
|