2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の腸管吸収に影響を及ぼす食品因子の探索研究
Project/Area Number |
17658063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 幹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20144131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘野 大太 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00228074)
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Keywords | 食物アレルギー / 吸収上皮 / 経口蛋白医薬 / 経細胞輸送 / 卵アルブミン |
Research Abstract |
食品成分として、油(中性脂肪)、タンパク質、食物繊維を選択し、マウスにおける各成分との同時経口投与が卵アルブミンの腸管吸収に及ぼす影響を調べた。以下に示す方法により腸管から血液に移行した卵アルブミンを定量する。投与後、2時間までの血液中濃度の経時的変化を明らかにし、単独投与の場合と比較することにより、食品成分のタンパク質腸管吸収に対する促進あるいは抑制効果を解析した。 (1)サンプル調製とマウス胃内投与:卵アルブミン(10または50mg)を単独あるいは上記の一成分と混合し、軽度の麻酔下でゾンデを用いてマウスの胃内に投与した。 (2)マウス末梢血の経時的採血:マウスの尾静脈をわずかに切り、5μlの血液をピペットで採取して直ちに冷PBS(45μl)と混合し、遠心分離した後に上清を分離した。胃内投与から15〜30分間隔で採血し、同様に処理した。 (3)標識抗体等の調製と高感度免疫測定:この上清について、抗-卵アルブミンIgGをコートしたELISAプレートと酵素標識した同IgGを用いた高感度サンドイッチELISAによって血液中の卵アルブミン濃度を定量した。 植物油と混合したエマルジョン状の溶液を胃内投与した場合には、対照(オボアルブミン単独)に比べて、末梢血中のオボアルブミン濃度は有意に高値を示した。一方、食物繊維と混合して投与した場合には、末梢血中のオボアルブミン濃度の上昇と下降が対照に比べて遅延する傾向が見られた。さらに、カゼインとともに投与した場合には、末梢血中のオボアルブミン濃度は有意に低値を示した。 これらの結果から、同時に摂取する食物成分によって、タンパク質の腸管からの吸収と血中への移行は多様な影響を受けることが明らかになった。
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