2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17658076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 正弘 Kyoto University, 農学研究科, 講師 (40303870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 順一 京都大学, 農学研究科, 教授 (80115782)
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Keywords | タケ / 開花現象 / ミトコンドリア / ATP合成酵素 / 葯特異的 / 開花促進遺伝子 |
Research Abstract |
昨年度までに得られたモウソウチクのATP合成酵素βサブユニット遺伝子(以下atpb遺伝子と略)のクローンについて解析をおこなってきた。得られた3種類のクローン(B-1,B-2,B-3)のうち,B-1とB-2は相同性が高く,またこれらのクローンは発現する場所がほぼ同じであり,葉やタケノコなどいずれ組織でも発現が認められた。これに対してB-3は葉,タケノコにおいては発現が認められなかった。2007年春に京都市北部百井峠付近においてチュウゴクザサ(Sasa veitchii Rehder var. tyugokensis)の一斉開花がおこった。開花直前の小穂および葉をサンプリングし,これらの組織からmRNAを抽出した。atpb遺伝子の各クローンに特異的なプライマーを用いてRT-PCRをおこなった結果,B-1およびB-2の発現が認められた。さらに。モウソウチクの葉やタケノコでは発現が認められなかったB-3においても小穂から得た葯から抽出したmRNAにおいてごく少量ながら発現が認めれた。この結果から,atpb遺伝足子のB-3クローンは葯特異的に発現するクローンであることが強く示唆された。単子葉植物において葯特異的に発現するatpb遺伝子のクローンが得られたのは,今回が初めてである。 また,近年開花促進遺伝子として注目を集めているFT遺伝子のホモローグを開花したチュウゴクザサからクローニングした結果,小穂および葉の両組織から完全長cDNAを得ることに成功した。通常FT遺伝子は葉において発現し,その翻訳産物であるFTタンパク質が花芽となる頂端分裂組織に移送され,そこで花芽形成を誘導するとされてきたが,今回チュウゴクザサからは葉ばかりでなく,小穂自体においても発現していたことは注目される。葉と小穂からえら得たクローンには若干の配列のちがいがあり,その点でも今後のさらなる解析が必要である。
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