2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹木タンニン類のROS産生能及び消去能に着目した多機能性生理活性発現機構の解明
Project/Area Number |
17658079
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 隆一郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (80091370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 邦義 九州大学, 農学研究院, 助手 (20346836)
堤 祐司 九州大学, 農学研究院, 助教授 (30236921)
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Keywords | タンニン / 樹皮 / メラニン / 生理活性 / 美白剤 / 細胞毒性 / メラニン生成抑制 / プロオキシダント |
Research Abstract |
本年度はタンニンの調製及び構造解析を行った。供試樹種は次の通り:(ヒバ(Taujopsis dolabrate)、スギ(Taujopsis dolabrate)、エゾヤナギ(Salix rorida)、カラマツ(Larlx leptolepis)、ケブラチョ(Schinopsis lorentzzi)、モリシマアカシア(Acacia mearnsii)、アカシアマンギウム(Acacia mangium)、カマバアカシア(Acasia auriculiformis)、マングローブ(Sonneratia caseoralis)、チェストナット(Castanea sativa) )。10gの樹皮粉に対し200mlの70%アセトン水溶液で抽出を行い、これを凍結乾燥して粗抽出物(CE)を得た。6gのCEに対し600mlの水を加え、100mlのn-ヘキサンで3回抽出して脱脂処理を行った後、100mlの酢酸エチルで3回抽出を行い、抽出物を凍結乾燥して酢酸エチル抽出物(EtOAc)を得た。水可溶部をSephadex LH-20カラムに通し、50%メタノール水溶液で糖成分等を溶出、除去した後、50%アセトン水溶液で溶出を行い、溶出物を凍結乾燥して高分子タンニン画分(P)を得た。このように調製されたタンニンサンプルは、熱分解GC-MS(ガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー)、^<13>C NMR及びGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)により構造を解析した。このように構造的特長を明確にした各種タンニンサンプルを用いて生理活性試験を試みた。メラニン色素産生能を有するB16メラノーマ細胞を用いた検討を行った。その結果、最終濃度100μg/mlで検討し、その挙動により三つのグループに分類した。すなわち(1)高い細胞毒性を示すタンニン(T/do(EtOAc・CE)、C.ja(CE)、L.le(EtOAc)、A.me(CE・ErOAc・P)、A.ma(CE・ErOAc・P)、A.au(CE・ErOAc・P)、C.sa(CE・ErOAc・P)、(2)細胞毒性を示さない濃度にて、顕著にメラニン生成抑制活性を示すタンニン(S.lo(P)、T.do(P)、S.ro(P)、C.ja(EtOAc・CE)、L.le(P・CE))、(3)細胞毒性もメラニン生成抑制効果も低いタンニン(S.lo(EtOAc)、S.ro(CE))、と分類した。構造解析データと照らし合わせると、グループ(1)は、タンニンの構成単位のフラバン骨格のB環にピロガロールを多く含むことが共通構造であった。また、グループ(2)に関しては、構成単位のB環にカテコール骨格を多く有し、かつ高分子(1,857〜14,851)であることが構造的特徴であった。
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