2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17658089
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中尾 実樹 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (50212080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 陽子 九州大学, 農学部, 技術専門職員 (10380560)
杣本 智軌 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (40403993)
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Keywords | 魚類 / 免疫 / 補体 / 種間適合性 / C3d / cDNAクローニング / 補体制御因子 / CR2 |
Research Abstract |
魚類の抗体/補体間および補体成分間で認められる種間不適合は、魚類免疫学研究の大きな妨げであるが、この不適合を分子レベルで解析した研究例はない。本研究は、このような硬骨魚類における抗体と補体の種間不適合を克服する、言わばマスターキー補体分子を作出することを目的とし、本年度は魚種間におけるC3dの構造的差異を解明した。10種の主要養殖魚の肝臓からRNAを抽出し、RT-PCRによってC3d領域をカバーするcDNAを増幅した。それらの塩基配列から推定されたアミノ酸配列を系統発生学的に解析した結果、C3d配列はコイ科魚類およびその他の魚種の大きく2種類に大別できた。また、ホモロジーモデリング法によって各魚種のC3dの立体構造を推定したところ、C3dの基本的な折りたたみ構造が魚種を超えて非常によく保存されていることが判明した。ヒトC3dの中で、その受容体として知られるCR2との結合には10個の酸性アミノ酸が重要な役割を果たすことが知られているが、そのうち6個の酸性アミノ酸は、すべての魚種で保存されていたことから、魚類でもこれらのアミノ酸がC3dとCR2との結合に関与することが示唆された。一方、C3からC3dへの断片化に関与すると考えられる新奇補体制御因子(CSCRP)をコイリンパ球からクローニングすることにも成功した。CSCRPは7個のShort Concensus Repeatモジュールから成る可溶性タンパク質であると推定され、N末端側はヒトのH因子に、C末端側はヒトのCR2により高い相同性を示す点で、補体制御因子およびC3d受容体の両面性を示すキメラ分子ではないかと考えられる。
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Research Products
(3 results)