2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロステロイドより読み解く魚類の性と性行動の可逆性を支配する脳機能研究
Project/Area Number |
17658090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 倫也 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (00183955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 明彦 九州大学, 農学研究院, 助手 (10332842)
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Keywords | ニューロステロイド / ホシササノハベラ / 性転換 / 2次雄 / 攻撃行動 |
Research Abstract |
ホシササノハベラは社会環境を調節することにより双方向への性転換(雌【double arrow】2次雄)が誘導でき,また,飼育水槽内で,雌雄間の産卵行動や雄間におけるなわばり行動が容易に観察されることから,本種は魚類の性行動におけるニューロステロイドの作用機構を解明するためのよいモデル動物となる、と考えられる。本研究では,周年を通じて認められる雄間の攻撃行動に着目し,水槽内での雄の攻撃行動の類型化と定量化を行うとともに,攻撃雄,被攻撃雄および雌の脳で生成されるステロイドの解析を行った。 125L流水式水槽に様々な体長差の2次雄2尾ずつを収容し,自然水温,13L11Dの明暗状条件で飼育した。日中の行動は水槽正面に設置したビデオカメラを用いて記録解析した。攻撃雄,被攻撃雄および雌から脳を迅速に採取し,液体窒素で急速凍結した後,-80℃で保存した。解凍後,放射標識したプレグネノロン(P5),アンドロステンジオン(AD)およびテストステロン(T)を前駆体として加え,20℃で2hr培養した後,得られた代謝物をTLCで分離,解析した。 2次雄間で突進,噛みつきなどの攻撃行動が観察され,体長差が2cm以上ある場合,大個体が小個体を一方的に攻撃した。攻撃頻度は,点灯直後1時間が69回/hと最も多く,時間経過とともに減少した。TLC解析の結果,各前駆体から種々のステロイドが合成され,特にTからの代謝物に攻撃雄と被攻撃雄との間で違いが認められた。
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